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繋がる空15

どう見てもお姉さんに見えないジーンズにジャケット。 かろうじて被る帽子はユニセックスだったからなんだろうか。 この服装にマスクでさっきまで一緒だった女だって良くわかったものだと驚いた。 ・・・もしかして気づいてる?・・・ そんな怖いことが一瞬頭をよぎった。それでも『お姉さん』と声をかけて来たんだからお姉さんのフリを突き通そうと決めた。 「風邪引いてるので今日は早退したんです」 掠れた声でそう言えば優しく微笑んでるあきと目があった。 「すっぴんだと本当に良く似てます。俺の恋人に。あ、そうだ、これ飲んで下さい」 下げた袋から栄養ドリンクと暖かいホットレモンを取り出す。 それもあきの作ったレモネードには負けるけど温まりそうなもの。 「頂けません。そんな・・・」 俺の言葉を待たずその袋を俺に手渡した。 「さっきのお礼です。早く良くなってくださいね」 そう言って首に巻いていたマフラーを外し、俺に巻きつけた。 「返さなくていんで。首元寒そうだから」 あきの匂いが鼻をくすぐり俺を包んでいく。胸が締め付けられて目頭が熱くなり隠そうと俯いた。 「・・・ありがとうございます」 巻いてくれる目の前に大好きな胸元がすぐそこにある。抱きしめてあきの音を堪らなく聞きたい衝動に駆られて目を瞑る。 その衝動に後ずさった。フラついたように見えたのか瞬時に添えられた手。 そのまま引き寄せられてギュっと抱きしめられた。 微熱で働かない頭に堪らなく欲しかった腕の中。何度もこうやって抱きしめて欲しかった。何度も何度も願った温もり。その温もりにますます頭が働かなくなる。 「・・・帰ろう。俺達の家に」 頭の上から呟いた声が耳に伝わってくる。 え?・・・やっぱり・・・バレてた? 「俺が・・・間違えるわけないだろ。どれだけ愛してるって思ってる」 どうしよう・・・シラを切り通すか。それともこの腕に縋って白状するか。 言えない・・・ どっちに転んでも今はまだ、ダメなんだ。 「ごめんなさい・・・ホント具合悪いので・・・」 離れたくない胸をぐっと押した。 「まだ・・・そんな・・・」 緩めない右腕と離れていった左腕。 片腕で引き戻された胸を避けるように顔を背けたそこに、耳を押し付ける形になってしまった。 ダイレクトに聞こえるあきの音。 大好きでいつまでも聞いていたい心臓の音。 身体が欲しがっているのに、頭はダメだって指示を出す。 いつのまに道路脇に止めたのか、離れた左手が止めたんだと理解した時には、抱きかかえられるようにタクシーに押し込められていた。

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