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繋がる空16

タクシーを降りるまでずっと抱きかかえられたまま、振りほどこうとしてもビクともしないあきの力に仕方なく身体を預けた。 熱が上がっていくのは風邪のせいなのかあきの温もりのせいなのか。心地よい腕の中で目を閉じながらこれからのことを考えていた。 抱えられたままタクシーを降りた目の前には、俺達の家。あきと2人で最期まで住む家が欲しくて建てた家。 ここ久しく帰っていなかった俺達の家に入ることを躊躇った。 ここにあきを1人残してずっと帰らなかった後ろめたさ。 頑張ってる。ちゃんと順調に店は繁盛してる。 なのに俺は仕事にかまけて帰れなくなった原因に後悔してタイミングが掴めなくて、どうしていいのかわからなくなった。 あきは気にしていないって言う。 だけど俺のことを想って暮らしてくれているあきに罪悪感を感じずにいられなかった。 内田さんに恥を忍んでお願いしたのも拗らせたことも俺のせいなんだ。 「そんなとこに立ってないで入って」 玄関のポーチに立ち尽くす俺の手を引く。これが他人の空似で本当にそっくりな他人だったらいいのにって思う。 でもそんな人を家に入れることはあきはしない。 俺だって確信したからここへ連れて帰ってきたんだ。 それなのにまだシラを切り通そうとしている俺がいる。 リビングへと引っ張っていき、俺の大好きなソファに座らせた。 前の家から持ってきたソファ。兄貴がプレゼントしてくれたソファだ。 革の手触りが良いのもあきがちゃんと手入れをしてくれてるんだって嬉しくなる。俺がいなくても俺達の家を守ってくれてる。 そして戻ってきたあきがテーブルに置いたのはさっき手渡されたものとは比べものにならない・・・湯気が上がりグラスを曇らせる、俺の好きなレモネードだった。

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