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繋がる空17
良い香りが充満して喉が乾いていく気がした。
それをじっと見つめて手を伸ばせないでいるのはあきが目の前に座ったからだ。
「温かいうちの飲んで」
凝視するのはレモネードじゃなく俺の顔。マスクを外して帽子を取るのを待ってる。
手を伸ばせばマスクを取らなきゃ飲めないし、取れば俺だってわかってしまう。
躊躇っていた俺のそばに移動したあきはグラスを持ち上げて俺に差し出した。
「はい」
早くマスクを取って飲めと急かす。もうこうなれば外すしかない。
諦めてマスクに手をかけ外してグラスに手を伸ばせばテーブルに置かれて遠くなったグラスと反対にあきの優しい腕が纏わり付いて暖かくなる。
「はる・・・」
切なく放った声とその腕の温もり。
俺の大好きなあきの腕の中。
もうシラを切り通すなんて子供じみたことはやめた。だってこの腕は俺だけのものだし、あきが暖めて良いのは俺だけなんだから。そのあきが抱きしめてくれてる。もうなんでもいい。あきに抱きしめて欲しい衝動に背に腕を回した。
「あき・・・」
掠れた声で名前を呼べば抱きしめられた腕に力がこもる。
「やっと抱きしめられた。はる・・」
掠れていく声に胸が張り裂けそうになる。
意地を張ってカッコつけてみたところであきには敵わないことに、なんで気が付かなかったんだろう。
どこかで拗らせてしまった想いがあきを苦しめて自分も苦しんでしまった。
その原因なんて些細なことなのに。
肩に埋めていた顔を上げてかなぐるように頬を撫でる。何かを確かめるみたいに帽子を剥いで間近であきの顔を見つめた。
「風邪・・酷かったの?声酷いね」
額に唇をつけて熱を計るようにキスをしてくれる。
両手で挟んだ頬にはあきの少し高めの体温が気持ちいい。
「外寒かったから早く飲んで。それからいっぱい抱きしめさせて」
背もたれにあったブランケットを肩から覆ってくれてその上から回された腕に暖かさが増す。
グラスを持って温度を確認しようと少し唇をつければ
「大丈夫。はるが飲める温度だよ」
俺のことを想って俺の為に愛情いっぱいに。
少し前屈みになればあきの足が俺の後ろに滑り込んだ。
背中にあきの体温を感じる。それだけで涙が溢れてくる。
俺の為に。俺だけの為に。愛情いっぱいに愛されてる。
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