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繋がる空18
温かいレモネードと背中から伝わるあきの暖かさに込み上げてくるものを我慢出来なかった。
止めどなく流れてくる涙が誘いあって溢れてくる。でも止めようとはしなかった。
離れていた間の辛さ、戸惑い、後悔が押し寄せて溢れる。
泣きながら飲み干したレモネードはいつもより酸っぱくて苦く感じた。
グラスをテーブルに置くのを待っていたかのようにあきの温もりが強くなる。
肩先に置かれた頭にそっと触れてみた。その手に擦り寄るあきが愛おしい。
俺じゃない誰かに切ってもらった髪に自分でスタイリングしたんだろう整髪料の香りがした。
あきの温もりに身体を預ければ強く抱きしめてくれる。
言葉も何もない静まり返った部屋であきの匂いと体温だけを感じて幸せが身体に染み込んでくる。
こんなにも安心できてこんなにも穏やかな気持ちになれる。それさえ忘れてしまいそうな毎日だった。
都心に出店すれば当然のように、いや、必然的にお洒落なスタッフを揃え、店のウリにしようとしたのはいいけど、田舎とは違う自己主張を強く持った個性的な人達。
俺だって約10年、そこに居たのに様変わりしたのは現代っ子の性格かもしれない。
ゆとり世代の子達は独特のだった。なかなか思うことが伝わらず責任者を決めるのにも四苦八苦した。
クタクタになって帰ってもそこには癒してくれるあきは居ない。
食欲も湧かずただ泥のように眠って朝がくる。
そこに追い打ちをかけるように起こった出来事。
40手前の世の中では中年と呼ばれる年頃になった俺に好意を寄せてくれる若いスタッフ。
エスカレートしていく彼の行動が俺をあきのもとへ帰る道を遠くした。
原因は些細なこと。
あきに手を伸ばせなくなったのは俺自身の所為なんだ。
偽善だよな。
罪悪感をなんとかしたくて内田さんを利用してあきの様子を伺う。
癒してあげるから吐き出して欲しいなんてそんなの偽善だよ。
俺が癒してもいいのか?あきに触れてもいいのか?そんな戸惑いを肯定させてでもあきの近くに行きたかった。
女装までして。自分を偽ってでもあきに触れたかった。
何も知らず、ただ俺を想って待っていてくれる。
拗らせたのは自分なのに、絡まったままの糸をそのままに、どうしてもあきに触れたかった。
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