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第7話

夏休み中に、哲生は付き合っていた女の子と別れた。恋人と別れるのは、高校に入学して4回目だ。1、2回セックスしただけの相手はもっといる。相手との深い関係は築けないが、付き合いそのものは誠実で、別れる際にもトラブルになることはほとんどなかったが、今回ちょっとフライングして、二股という形になってしまった。 浮気者と責められ、泣かれ、申し訳ないという気持ち以上に鬱陶しいと思った。浮気相手とされた子とも切れ、長続きはしないが女の子との付き合いが途切れたことのない哲生には珍しく、独り身になった。恋人に気を使う必要のない状態が清々しくて、このまましばらく彼女はいらないなと思っていた。 体育の時間前に、更衣室で着替えるためにカッターシャツを脱ぐと、隣で着替えていた友人が哲生の肩をぴしゃぴしゃ叩いて言った。 「相変わらず、ほっせーなあ。全然肉ついてねえじゃん」 「うるせえ、ムダ肉がついてるよりいいじゃん」 若干アバラが浮いた胸をさすりながら言い返し、何気なく室内を見回すと、東吾と目が合った。 隣のクラスの東吾とは、体育の授業が一緒になる。友人ではなく話したこともほとんどなかったが、何か言いたげに見えたので首を傾げて見せると、東吾は目をそらして更衣室を出ていった。

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