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第15話
東吾とは、その後歩み寄ることも出来ず、プライベートで会うこともないまま冬を迎え、年を越し、卒業の日が来た。東吾は言っていた通り、東京の最高学府へ進学を決め、哲生も地元の国立大学に無事合格した。
「あのままお別れとは思わなかったよ」
卒業式の日、東吾を最初に呼び出した理科棟の空き教室に、式の後再び呼び出した哲生は苦笑いを浮かべて言った。
「俺を振ったのは君だろ?」
東吾は憮然として言った。
教室の外には、式の後、友人や後輩との別れを惜しむ声が遠くにまだ残っていたが、学級棟でもないこの理科棟の隅っこの空き教室など、来る人間はいなかった。カーテンが閉め切られ、薄暗い静寂に包まれたこの教室に東吾を呼び出した哲生には、初めてここに来たあの日と同じように、言いたいことがあった。
「卒業するまで、友達でいてくれると思ってた」
拗ねたように唇を尖らせて言う哲生を、東吾は困ったように眉をひそめて見つめていたが、首を振りながら答えた。
「俺は本気で好きだったんだ。友達なんて無理だ」
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