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第19話

「彼女とは大学の同級生で、在学中に付き合い始めたし、女の24歳はそれほど早くないだろ。ズルズル付き合ってても仕方ないし、俺が資格を取ったタイミングで結婚したんだよ」 「山岸さんイケメンだから、奥さん結婚して安心したでしょ」 「早く子供作れ!子育ては体力がある若いうちがいいぞ!」 「あー!それ、セクハラとかパワハラとかマタハラ?とにかく、なんかのハラスメントなんですよ!山岸さん、訴えましょ!賠償金とりましょう」 「なんだと!貧乏親父が金なんか持ってるかよ!」 哲生は2人が楽しそうに騒いでいる姿を見ながら、 (茉莉子と笑いながら話したのって、いつだっけ?) と、考え込んでいた。 茉莉子は大学の建築科の同級生だったが、哲生が彼女の存在を意識したのは2年生になってからだった。 大学に入学して、新たに多くの友人が出来、女の子とも再び付き合うようになった。だが、深い付き合いを嫌う悪癖は直っておらず、付き合う期間が短いのは相変わらずだった。恋人と別れた直後の胸にぽっかり空いた穴から、心の底に沈めたはずの東吾の面影がのぞいてきて、哲生の感情を乱す。そんな気持ちに振り回されるのが嫌で、哲生は次々と新しい彼女を作った。 2年生になったある日、教室に入り友人の姿を見つけて寄って行くと、見覚えはあるが、関わったことのない女子が2人いた。

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