20 / 39
第20話
「俺、この子と付き合うことになった」
友人が照れながら紹介した子は、明るめの茶色に染めたストレートヘアを肩に垂らした、垢抜けたかわいい子だった。
「その子は彼女の友達」
そう言われてぺこりと頭を下げたのは、真っ黒い髪を顎の辺りで切り揃え、黒目がちな瞳が素朴な印象を与える、こちらもなかなか美人な女の子だった。
その日は授業が終わったあと、4人で食事に行く事になった。付き合い始めて間がない友人が、2人きりになるとまだ気恥ずかしさで会話が途切れがちになるから、フォローしてほしいと頼んできたのだ。
ファミレスのテーブルで男女で向かい合って座りながら、哲生は山岸茉莉子と名乗った女子の顔を見つめていた。女の子の守備範囲が広く、美醜を問わずいろんなタイプの子と付き合ってはきたが、哲生の好みは女らしい柔らかくてふわふわした印象の子だった。茉莉子は美人ではあるがあまり色気はなく、友達に話す口調は知的でサバサバしていて、年より大人っぽく見えた。哲生の好みのタイプとは少し外れてはいたが、少し上を向いた高い鼻や、細くはあるが女の子にしては大きめの手など、さっぱりした好ましいパーツをいくつもそなえ、人と話すときじっと見つめる癖があるらしく、テーブル越しに何度も見つめられて哲生の胸は少しずつ高鳴っていった。
ともだちにシェアしよう!