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第24話
「地元の大学に進んで、結婚して、子育てする。高校の時言ってた通り、有言実行ってやつだな。子供もいるのか?」
名刺をテーブルに置きながら、東吾は平静を装って聞いてきたが、同様を隠しきれず声が震えていた。
「いや、子供はまだだ。俺も彼女も仕事が忙しくて」
淡々と答える哲生の言葉を聞きながら、東吾は冷奴を突いていた。突くばかりで一向に口に運ぼうとしないので、崩れる一方の豆腐をぼんやりと見ている東吾の顎に当てた左手に、指輪が無いのを見て哲生が聞いた。
「お前は、結婚は?」
「…俺はしないよ。女性は愛せないから」
「あ、ああ、そうか。そうだったな」
分かりきったことを聞いた気まずさに、哲生は目を逸らして、焼酎のグラスをあおった。
「でも大変だよ。カミングアウトしてないから、ちょうどいいターゲットと思われていろんなとこから見合いの話が山程来るし。女性からのアプローチもすごくて」
実際東吾は少し痩せたようで、仕事だけでなく、さまざまなことでストレスフルな毎日を送っていることがうかがえた。
「女子にモテるって、自慢かよ」
哲生がそう言って2人で笑い、その後は高校の同級生たちの近況や、お互いの仕事のことなどとりとめなく話しながら、ジョッキやグラスを重ねていたが、哲生の何枚目かの酎ハイのジョッキが空いたところで、東吾が伝票を持って立ち上がった。
「お開きにしよう」
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