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第25話

高給取りだから、と軽口を叩いた東吾に支払いを任せ、哲生は一足先に店の外に出た。 東吾が今夜泊まる彼の実家は、店の前の道を左に行く。哲生のマンションは右に行く。後から出てきた東吾が、あっさりと手を振って左に向かったのを見ながら、哲生は右に向かうことがどうしても出来なかった。 駅前のビジネスホテルのツインルームは7階にある。エレベーターの7のボタンを東吾が押すのを見ながら、7はラッキーセブンなのかな、とどうでもいいことを哲生は考えていた。 地元に昔からあるビジネスホテルは、全体的に古びてはいるが、ロビーも廊下も掃除の行き届いた清潔な印象で、初めて入ったが良いホテルだと思った。 エレベーターを降りて3つ目の部屋に入ると、ドアが閉まると同時に哲生は東吾に抱きつきキスをした。部屋で飲もうかと、途中のドラッグストアで買ったビールの入った袋を足元に落とすと、東吾も哲生を抱きしめた。 貪るようにキスをしながら、2人は服を脱ぎ捨てて、ベッドにもつれ込んだ。東吾が口と言わず鼻と言わず、哲生の顔中にキスの雨を降らしながら、胸の突起を撫でた。キスの合間に荒い息を吐き、哲生は久しぶりに感じる興奮に身体中が震えるようだった。いつの間にか股間まで顔を下げた東吾の、昔と変わらない巧みな舌使いに哲生はすぐにイカされてしまった。

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