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二十二話『血迷う』

「すげぇな、朝比奈。おっぱい星人の半田をその気にさせるとは。」 「いや、だってこれ男の乳首じゃねぇだろ。」 色が綺麗だから、朝比奈のそれでも無問題らしい。 加えて驚くほど綺麗な顔だから、血迷う気持ちもわかる。 理解できないのは当然朝比奈本人だけだ。 「な、何て破廉恥な事を。見境無く発情するだけでは飽き足らず、こんな…。」 朝比奈は言葉に詰まらせて、松尾をにらみあげる。 「まさか…お前は変態なのか!?異常性癖なのか?」 真っ赤になり、怒りと羞恥で体を震わせている。 本人は至極真剣なのだが、相川は思わず噴き出した。 この状況で、笑わせてくれるとは意外にも面白おかしい人だ。 「変態で結構だよ。――お前、妹とか姉ぇちゃんとかマジでいねぇの?」 「居たとしてもお前達など相手にはしないぞ。」 「ふぅん。やっぱ、いねぇのか。にしても綺麗な色してるな。」 色を含んだ視線に朝比奈の顔が更に赤くなる。 唇を噛み眉をしかめるさ まが加虐嗜好を刺激する。 彼はあれだ。 庇護意識の強い相手または加虐気質のある人間に執着される質だ。 前者であれば鬱陶しい程度で済むが、後者であれば未曽有の災難としか言いようがない。 残念ながら、監査委員の二年生は後者であり――朝比奈の様なタイプの人間が大好きなのだ。

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