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二十四話『諦めが悪い』
「――朝比奈よぉ。いい加減諦めて足開けや。」
白い足が惜気もなく晒される。
しっとりとした肌の質感までも見て取れる男の物とは思えない足。
「乳首だけじゃなくて、足も綺麗すぎだろ此奴。性別間違えて生まれたんじゃね?」
「色白いなぁ…。」
足にかかる松尾の手が野蛮に感じる程しなやかで綺麗な線を描いている。
ネイビーのローライズタイプのボクサーショーツは、 何処にでもあるごく普通のスタイルなのに白い足とのコントラストが強烈に映る。
恥じらい足を閉ざそうとする姿がやけに淫靡だった。
「…おい、畜生共。只で済むと思うなよ。」
「なにそれ、降伏宣言?」
「そろそろ、色っぽく泣いてもらいましょーかねー。」
「腐れ外道がっ」
松尾の脇下に挟まれた朝比奈の右足が跳ね上がる。
松尾自身の体重を重しにし右方向へ半回転するように体をねじり、 朝比奈が左足を跳ね上げる。曲げた左膝を伸ばすようにして松尾の頤を狙い弾く。
ぱんっと弾けるような音が空中でした。
眼前に迫った足の甲が到達するぎりぎりの瞬間、踵部分に松尾が掌を添えて勢いよく放たれた蹴りの軌道を反らしたのだ。
「松尾先輩っ大丈夫ですか?」
「すっげぇ手が痛ぇ。感覚可笑しいんだけど。…まじ諦め悪ぃなぁ。」
神業ですね。相川の言葉には答えず、松尾は冷ややかに朝比奈を見下ろす。
ふぅふぅと荒く息を吐きながら朝比奈が目をぎらつかせて睨みあげる。
手負いの獣そのものだ。
松尾は冷やかな眼のまま、口角をあげた。
痺れる手をひらひらと振り、すっと拳を作る。
「朝比奈。」
そして次の瞬間に朝比奈の腹に拳を打ち込んだ。
「うっ…ぐっぁ…げほっげほ」
上半身は押さえつけられている所為で、九の字に曲げる事も出来ず無意識に腹を庇う様に体を縮め咳き込む。
「おいおい、松尾優しくしてやれよ。」
吐かなかった所を見れば、かなり手加減をしている。松尾がその気になれば内臓破裂位は簡単にできる。
「朝比奈が悪いんだろうが。レイプしてほしけりゃしてやるよ。ケツ穴調教して雌穴にしてやるからよぉ。」
膝を合わせ必死に足を閉ざそうとするが松尾の手が強引にこじ開ける。
荒く息を吐きながら、朝比奈が踵を松尾の胸へ放つが、先ほどよりスピードも威力も無く松尾の手のひらに収まる。
「けほっ、ハァハッ…げほごほ‥はぁ」
未だ苦し気に咳き込む朝比奈の左足を殴りつける様にして押さえ、片膝を乗せ体重をかけて動きを封じる。
机の脚が鈍く音を立て、不安定に揺れた。
朝比奈の顔が痛みに歪む。苦し気に呻き声を上げ、喘ぎを飲み込む。
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