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七話『告白じゃないから安心して』

今から約三時間ほど前の出来事だ。 業務監査委員の相川 亮一は図書室で昼休憩を過ごしていた 朝比奈 錦を捕まえ彼是と適当な言葉をかけ人気のいない廊下へ呼び出した。 (余談だが、朝比奈が読んでいる本が『紙粘土で火焔型土器を作ろう』だった。) ――朝比奈 錦先輩、ちょっと話が。 あっちょっと。ときめいちゃうので、そんなゲロを見るような目で見ないでください。 告白じゃないから安心して。 は?黙れ汚物?酷い酷い。 でもぉー俺が汚物なら、学院の環境美化保持に勤めている先輩は尚更俺のお話聞かなくちゃ。 エロい話じゃないので…あーっ待って待って。 冗談なのに。弟の更紗君の事です。 おっ、反応しましたね。 弟の名前を出されればこの人、悪いオッサンにもほいほいついて行きそうだ。 と言うのが正直な感想。 天下無敵と言われた朝比奈 錦様の弱点は弟君でした。 ――実に有りがちである。ありがたやありがたや(笑) 『話は?手短に頼む。』 ――彼、生徒会会計担当してるでしょう?実はですね。 会計監査の方でちょーっと気になる噂がありまして。 んー…更紗君が提出する帳簿ですけどね。 定期監査で帳尻が合わない金額がいろいろ出てきまして。 粉飾決算と言いますか――領収書、請求書の内容及び金額の矛盾が多いんですよ。 それだけじゃなくて、私物を生徒会会費で購入し計上しているのではないかと。 まぁ、その辺は「会計上のミスです」とか「あとで払い戻しします」とかの言い訳が通る程度の問題だと個人的には思ってるんですよね。 一度言葉を切り、朝比奈の顔を見る。 動揺など一切浮かべない無表情。 冴えた瞳が真っ直ぐ相川を見つめてくる。 射抜かれると錯覚する程に眼差しに圧力がある。 恐ろしいほどの目力に平伏したくなる。

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