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第8話

「吉田さんはどうやって博士と知り合ったんですか?」 「あー……ええと、別にこれといったきっかけはなかったかな。強いて言うなら家が隣だったんだ」 「お隣さん?」 「うん。ほら……この博士は見ての通り変人だから、ご近所さんからも敬遠されがちでさ。回覧板とか全部俺が回してたんだよね。そしたらだんだん仲良くなって、気付いたらお世話係に」 「へえ、そうなんですか。いいですね!」 「でも実験する度にご近所さんからクレームが来て、その謝罪まで一緒にさせられてたけど」  だから、今の研究所はクレームが来づらい町外れにあるのだ。 「へ、へえ……。まあでも、それだけ親密だったってことですよね」 「親密? 本当にそう思う?」 「はい。仲良しだから博士もいろいろ任せてくるんでしょ? いいなあ……」  純はチラリと博士を見上げ、心底羨ましそうに呟いた。 「……できれば、ぼくも一緒に何か発明してみたいですけど」 「おお、それはもしや助手の志願!? よし、わかった! きみは今日からうちのラボメンだ!」 「いえ、それは……父が許してくれるわけないので……」 「むむ? お父さん、駄目って言いそうなのかい?」 「はい、多分……」  詳しく話を聞いてみると、どうやら純の父親はギャンブルが大好きで、毎日ロクに働きもせず競馬場やパチンコ店に入り浸っているそうだ。家にいる時は酒を飲んでばかりで何もしないという。母親とはそれが原因で離婚してしまったらしい。 「それで、買い物とか掃除とかは全部ぼくがやってるんです……」 「なんだって!? そんな家庭環境、不遇すぎる! やっぱり純くんはうちのラボメンになるべきだ! よーし! 今から私がお父さんに掛け合って……ぐべっ!」  暴走しそうな博士を殴って止め、直人は純を見下ろした。そして言った。 「もし純くんが本気で研究所の仲間になりたいって言うなら俺も歓迎するよ。でも、お父さんに反対されたくらいで諦めちゃうんだったら、やめておいた方がいい」 「えっ……?」

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