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第25話

「いた...い」 制服を着るだけで一苦労した。でも痣は隠さなきゃ大問題になってしまう。手首や足首、喉はシャツを見た目じゃ分からないけど痕がヒリヒリと痛むんだ。 本当に、魔の7日間だった。 頭痛が酷い。日付感覚が狂ってて、今日が一回目の登校から一週間経ってることに驚いた。朔と連絡を絶ってから一週間、ということにもなる。電話禁止令出したから、朔は不思議に思ってないだろう。子をあげるのはまだかまだかと待っているかもしれない。 「それだったら...いいな」 でもおれからは絶対連絡できないと思うと苦しくて息ができなくなった。もちろん朔から電話がきても出ることは出来ない。 「ぁ...」 そのせいでもう二度と会えないって考えてた。久々に外に出たら名前を呼ばれて、それが朔の声で驚いた。とうとう幻聴まで聞こえ始めたのかと。さらには朔まで見えて幻覚まで?!と。でも朔は消えることなくそこに立ってた。 なんでいるんだ、って大混乱した頭。抱きつきたかった。だってもう何日、何週間顔見れてないと思ってるんだ。寂しいの我慢してここまでやってきたのに一瞬で壊されそうになった。 だから脇を通り過ぎた。通り過ぎた瞬間の朔の顔が忘れられない。朔に顔向けできない、見れない、話せない。一週間の記憶がおれの行動を邪魔する。 「譲」 ぱしっと手を取られて足を止めた。しばらくその状態でいたけど、埒が明かないから話しかけた。 「...記憶、大丈夫?」 話す声が震えてる。朔にも気づかれてしまうほど、震えてる。 「ほとんど、思い出せた」 「よかった、これで仕事にも支障きたさないじゃん」 「譲がいないと、仕事が出来ない」 「大丈夫だって、朔は完璧だから...」 だから手を離して。言いたいのに離して欲しくない自分がいる。あったかい朔の手。握り返したい。 何となく、朔がおれを迎えに来たことは察してる...それに、「手を離さないで」より言うことがある。 「朔、おれ帰れない」 「......」 苦しい中涙声で話したら手が勝手に離れた。ああ、榊田の方が居心地いいとか付け足した方がいいかも。朔がおれを連れ帰るのを諦めるように冷たい言葉をかけなきゃいけないんだ。 「朔の近くにいると胸が痛い」 間違ったことは言ってない。常々思ってる事だ。朔の隣にいると、心臓がドキドキして痛い。 「気持ちがぐちゃぐちゃになる」 いつも朔のことを考えて頭が心がめちゃくちゃになる。嫉妬とか。 「考えたくないことまで考えてたりする」 今日は帰り遅いのかとか、女の人と一緒じゃないのかとか、そんな独占欲みたいな気持ち。 「だから帰って?」 笑顔なんてやっぱり出来ないから目を逸らして心にもないことを出した。朔は、なにも言わずにただじっと見ていた。喋らないってことは諦めたってことでいいの?でもなんで動かないんだ、諦めたら帰るはずなのに。 「...言いたいことは、それだけなのか?」 「それ、だけ...?」 言われたことの意味が分からなかった。諦めてくれたものだと思い込んでたから、フリーズしてしまった。 誘導尋問みたいなものだって理解してるけど...朔の言葉に絆されて、口が開きかける。 はっとして口を閉じるとまた名前を呼ばれる。朔の声にどれだけ自分が弱いかを再確認させられた。 「...ない、なにもない」 「譲、違う」 「...言いたいこと、それだけだから」 「譲、違うだろ?お前が言いたいのはそんな事じゃないだろ。本当のことを言ってみろ」 「.........」 この会話随分と前にした記憶がある。 「言えない...言ったら...」 「ということは、さっきのは?」 自白したも同然の答えに朔より先に諦めがついて.........帰りたい、と口からこぼしてしまった。

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