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父さん、抱きしめて 1

朔がいて、帰れないって言ったら、手を離されて、他になにか言うことをないかって言われて。苦し紛れに、無理だろうなぁと夢見ながら言ってしまった。 「朔に迎えに来きてほしい.........、けど...だめ!帰って!!!」 朔の方を振り返ってしたくもないのに睨みつけた。無茶なお願いだし、帰るだなんてできない、だからこのままお別れしなきゃって前を向いたら 「?!」 「今更いうな。帰るぞ」 抱き抱えられていた。お姫様抱っこ。 「ひゃあ?!」 このパターンどこかで。このままベッド・インした初夜を思い出し頬が熱くなった、ってそうじゃいだろ?! 「譲、走るからな。しっかり掴まれ!」 「え、あ?!なに!朔?!なにぃいッ?!」 後からいろんな人の怒る声がしてる。榊田の人間が集まってきてたみたいだ。朔はそれを諸共せず走って知らない車に乗り込む。 「奈緒さん!」 「あはは!楽しくなってきたわァァァ!」 車に乗ってたのは女の人で、狂ったように笑いアクセルを全開にして走り出した。 「だれっ?ひ、ぎゃあああ!!!」 車が走行し始めたけど、やばい、この運転手さん運転やばい!荒い!! ギュンギュンと加速する中、酔わないのかと心配になるほど朔は体を前に折っておれを抱きしめてた。ちなみにおれは未だに横抱きの状態。 「譲...譲、譲」 「朔、ちょっと!降ろして!帰るから!!」 「どこに帰る気だ!こんな痣作られて......譲」 朔は首筋に鼻をつけてすん、と息を吸う。なんだ、バレてたのか。尚更悪い。 「朔、...お願い、降ろして」 「だめだ......いま、譲補充中」 「降ろしてってばぁ......ぐす」 「...だめ」 段々涙が出てきて涙声が鼻声に変わる。おれ...朔に触ってもらうのに...のに。 「朔くーん、甘える前に質問。桜花高校に突撃したらいいんだよねー?」 「そうしてくれ」 頭をあげる朔。顔が見れてまた涙がボタボタ出てきた。会えて嬉しいのか、悲しいのか全然わかんない。 「...ぅう」 「えらく涙腺弱くなったな...どうした?」 言えない...言ったら嫌われる、絶対嫌われる。幻滅されるくらいなら、榊田で暮らした方がマシだ。 「おろしてぇぇえぇーー!!」 「お、いっ、こら暴れるな!」 ドアに手をかけようとしたら朔に捕まって対面に座らされた。なにをするかと怯えてると柔らかいものが唇に触れる。 「?!やっ!!」 どん、と押し退けると朔は目を大きく見開いていて悲しげだった。

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