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第7話

家に帰り、ぽかんと口を開ける。 カップ麺のゴミが大量にゴミ袋の中に入ってて、洗濯機は服を放り込んだままだし、洗濯物は湿気でぐちゃぐちゃ、シンクには鍋が放置してある。 「ひ、ぇ......」 思わず目を背けたくなった。 「だから言っただろ、酷いって」 「でも...朔は家事出来るから大丈夫だって思って榊田に行ったんだけど」 「買い被りすぎだ。譲のために家事はするようになったんだから、譲がいなきゃやる気が起きないのは当たり前だろう」 そう、ですか。 「片付ける?」 「あとでいい。それよりも...」 ソファーに座った朔に手招きされる。そこにも洗濯物がかかっていた。 来いって、こと? ぼすんと同じようにソファーに座った。 「...家、久しぶり」 家の中は嵐が通ったあとのような状態だけど、久しぶりの家はとてつもなく安心できた。 「一週間前、何があった?」 「う...」 せっかく家に帰ってきたから余韻に浸ろうと思ったのに、そうはさせてくれないみたいだ。 「あんまり、言いたくない」 「...言いたくないことは、譲が望んでされたものか?」 「っ、それは違う」 これ以上は、きっと引き延ばせない。どうせ話すことならさっさと話してしまえばいい。それなら、嫌われてもまだ傷は浅めに残る程度だ。 「............なにも言わないで、聞いて?」 祖母が持ってきたお茶を飲んで気を失い、目を覚ますと牢屋のような場所にいた。 布団が敷いてあって、畳があって、羽目殺しの鉄の格子窓、格子戸、あと左側に引き戸。なんていうか、昔の...そう、座敷牢みたいな。 なんだろう、ここ。 まだ働かない頭を支えつつ壁に手をつきながら起き上がった。 「...?」 そこでおかしなことに気づいた。足が重たい、とても。 おそるおそる布団に手をかけめくる。 「......ぁ」 重い理由は、枷だった。片足にベルトが付けられてて、部屋の隅の鉄の棒?に繋がれてる。鎖は結構長いから動くには不便なさそう...ってそうじゃないだろ。 びっくりしたおかけでぼんやりとした頭が覚醒した。 多分祖母がくれたお茶に睡眠薬でも入っていたんだ。それで、ここに閉じ込められて。 「出口...」 パッと見、格子戸か左側の引き戸が出口っぽい。 這い蹲って行き引き戸を開けてみるとシャワーとトイレ。ハズレだ。 格子戸に行くも、開きそうなところに錠前がかかってて出れなかった。 「あら、起きたの」 何度かガチャガチャと錠前を格子戸の中から引っ張ってたら、祖母にそこに立っていた。 「おはよう、譲」 閉じ込めた人なんかに挨拶しない、と無視を決め込み鍵を弄り続ける。 「......楽しいかしら、開かない鍵を壊そうとするのは」 ぷらん、と鍵が目の前に吊るされる。咄嗟のことに反応でなくてワンテンポ遅れて手を伸ばしたけど、隠されてしまった。 「開けて、ください」 「だめよ」 「ここから出して!」 ガタガタと格子戸を揺らす。 祖母は、急に狂ったように笑い出した。 「その意気よ譲。その意気で、三日間の断食も頑張ってちょうだいね」 -いま、なんて。 「もちろん、お水はあげるわ」 「ちょっと、待って!なんで、こんなこと」 声を張り上げて叫んだのに聞く気もないようで祖母はどこかへ行ってしまった。

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