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第18話

side 朔 「だから、いままで連絡もなにも取り合わなかったのに。大事な一人息子?知りませんそんなこと」 はっきりとした拒絶。出て行けと言ったのは、この人たちだ。 「俺が家を継がないと言った時だって、反対し―」 「それを言ったのは、儂だったか?」 話しているのに遮られ苛立つ。聞く必要も無いか? 「...なにが言いたいんですか」 「儂は、一言も、そんなこと言ったことなどないし...思ったこともないぞ」 ぴくり、肩が揺れた。ぐっと眉を顰めて考える素振りをする。譲が体を起こして普通に横に座ったが、膝に戻すことはしなかった。 息子なんかじゃない、と言われたことは?―あの人には言われたけど、この人には... どこかへ行けと言われたことは?―それも、あの人だけ。 出ていけ、は?―あの人、が言っていた。 その他にも昔に言われたことを掘り出してみたけどどの過去にも、目の前のこの人から言われたことなどなかった。 「..................ない、言われたこと、な、い」 前屈みになって肘を太腿に乗せて、頭を抱えた。譲が背中に手を添えて(さす)ってくれる。 「儂は、おまえが家業を継がずに自分のしたいことをする、と言った時も「好きにしたらいい」と言っただけだ」 「...すみません、なんか、その...記憶が、うろ覚えで」 「儂も沙恵を止められなかったからな。勘当した理由は...おまえを守るためだった。沙恵の異常性はおまえもよく知っているだろう」 「...」 「尋常じゃない程跡取りに執着して、このままではおまえは榊田に囚われて一生を過ごすのではないかと...老耄(おいぼれ)の勘だがな...」 勘だけど、当たっている。どの時でもあの人は、「あなたは大事な跡取りだから」と縛られてきた。 「だから、...絶縁したと?」 「あえて沙恵に悪い話ばかりを聞かせて、おまえを遠ざけさせた。まぁ絶縁宣言したのはおまえだがな」 がっくりと項垂れる。これじゃ...俺が一方的に敵視してたのと変わらない。 「おまえが怪我したと聞き、全額ではないが治療費を負担しようと策をねっていた時だ。沙恵が資料を持ち出し譲のことを知った。儂の不注意だ.........すまん」 謝られ、頭を下げられた。 治療費を負担ってことは最初から脅す気などなかったのか。ならどうして沙恵に加担したんだ、譲は大事じゃなかったのか。 事態に脳がついていけず戸惑う。 それを、譲が止めてくれた。頬を両手で挟まれ横を向かされ、目と目が合う。 「父さん、大丈夫。別にびっくりすることじゃないよ。誰だって自分の子供の心配するでしょ」 「譲」 「父さんだっておれのこと、心配するよね?同じ。おじい、...ちゃん、だって、父さんのこと大事なの」

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