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第3話

 今現在、おれは父さんを避けまくっている。  理由は、ことある事におれを「父さんの大事な人」に会わせようとしてくるからだ。    ある時は    「譲明日は―」    「あ、ちょっと用事あるから」    またある時は    「譲今日この後」    「あ…電話だ」    更には    「ゆず、」    「出掛けてくる」    こんな感じだ。  父さんですら分かるレベルで避けている。そしてその理由を父さんは聞いてくれようとするが、また、避けてしまう。    何度か繰り返しているうち、父さんは何も言わなくなった。    ああこれじゃ、前の居心地の悪い状況に逆戻りだ。  あのゲイだと受け入れられない自分に苛立っていた時。それと似たような状況だ。    悶々と考えるのが嫌で、外出してみたけど…特に気分は晴れることがない。父さんへの気持ちをどうにかしないといけないのは分かってるんだけどな…。    街を適当に歩きながら解決策を練るが、どれもこれも上手くいく気がしない。  もういっその事…父さんに思いを告げてみるとか。だめだ、父さんはノーマル。それも「大事な人」までいるんだ。    「あー…くそ」    毒づきさらにため息。    街を見ても、どこを見ても男で肩を組んで歩いている人なんていない。もちろんキスなんてしていない。  おれは、異端者なんだと街に出ると実感してしまう。    帰るか。    くるりと踵を返す。    そしてざっとすぐに前を向いた。    どくん、どくんと嫌な音が聞こえる。    見たく、無かった。    踵を返すんじゃなかった。    さっさと家に帰ればよかった。    いや、家に居ればよかった。    父さんは出かけるからって言ってたんだ、忘れてた俺が悪い。    見たものは、  綺麗な女性が父さんの腕に寄りかかっている瞬間。    早足がどんどん加速して、走っていた。走りながらうるさいほど、頭の中の声が響いて。  どうしておれじゃないのって。  やっぱりだめなんだって。  さっきので余計に確信を持ってしまった。    むりだ。もうむりだ。    「うっ…」    泣かない、泣けないものだと思っていた両目からは汚い水。中3のときから凝固していて、膿んだ水だ。    ごめんなさい、ごめんなさい好きになってしまって。    何かに謝りながら、おれは人目を気にせず走った。

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