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父さん、触って?1

ここからは、番外編になります。触らないで編の後日談です。 *** side 朔    最近、息子の様子がおかしい。    妙に、避けられてる…気がする。聞いてみても何もないと言っていて、明らかに怪しい。  キスをすれば嬉しそうにするし、キスを返してくれたりもする。だが、それまでだ。それより先に行こうとすれば、逃げられる。    「ん、はぁ…」    今もこうして、キスをしているが拒まれることは無い。しかし、そこから腰にそっと手を沿わすと。    「!やだっ」    といったふうに、逃げられるわけだ。しかも今回は、ひどい。突き飛ばされた。    「あ…ごめん…」    「なんで嫌がるんだ?」    「…」    聞いてみても、大半が無言で返答がない。視線もそらされる。  困ったものだとため息をつくと、譲が肩を震わせていた。    「ゆず…?!」    呼びかけようとして、絶句。譲は、泣いていた。泣き顔にそそられるなんて、今言っている場合社ないんだろうけど。    「どうしたんだ、譲っ?」    「き…」    「き?」    「嫌いに、なんないでぇ…うぅ… 」    いきなり泣き出した譲に対処の仕様がなく、ただひたすらにソファー座って抱きしめることしか出来なかった。    ***     やっと泣き止んだ譲はまだしゃくりを上げている。中3の時の大泣き以来、けっこう泣き虫になった息子、否、恋人。可愛いといえば可愛いんだけども。    「どうした譲?言って?」    「うっ、ぐす…」    譲を向かい合うようにして膝に乗せて話す。譲は俺が渡したハンカチで目を拭っている。腫れないように水で濡らしたハンカチだ。    「と、父さんの…ひくっ、父さんの邪魔にならないようにするからぁ…捨てないで、嫌いになんないでぇっ」    …………。    「なんでそうなった?!俺がお前を捨てる?嫌いなる?捨てないしならない!本当にどうしたんだ?!」    肩を鷲掴みにして揺さぶる。    「あ、う…だって…」    揺さぶりすぎて喋れなさそうなので、やめてやる。    「だって、この前父さん、大切な人がいるって。それをおれに紹介したいって言ってたじゃん…そ、それにこの間!!!」    やっと泣き止んだはずの泣き虫は、目を瞬かせ、ポロポロ涙を流し始める。まずい、また、なく。    「この間、なんだ?」    「この間、すっごい綺麗な女の人が父さんの腕に捕まってて…それで、よく考えてみたら父さんはノーマルだし…」    あの場面を見られていたのか。最悪、とばかりにため息をつけば変なことを考えたのか譲が肩をびくつかせた。    「だから、だからぁ…父さん、おれのこと遊び、だったんじゃないかって…」    ポロポロから、ボロボロと泣き始める譲の頭を撫でる。    「あのな…言ったよな俺。好きだって。エッチもしたよな。それでなんで遊びになるんだ?」    エッチという単語を出すと、顔をハンカチで隠す。このハンカチの下は真っ赤なはずだ。    「じゃあ、大切な人ってだれ?」    子首を傾げハンカチから顔を少し出す。その動作は、どう考えても男子高生がするようなものではない。可愛いけど。    大切な人、か。そう言えば譲を堕とす前に「大切な人に合わせたいから」なんて言ったことを思い出す。それで不安になった訳か。    しかも、あんな光景見せられちゃ、こうなるか。これは俺が悪いな。    「譲、父さんの大切な人って言うのは」    答え合わせをしようとした突如、譲の表情が暗くなる。    「…こら、なんでそこで暗くなる」    「や、やっぱり大切な人って…おれじゃないんだなって…」    「~っ!あぁもう!」    潤む目で見上げられれば、答えることなんてできない。顎を引き寄せキスをしてやる。    「んぁ…っ」    後頭部に手をやりぐいっと引き寄せ深く口付けをする。さらに舌を入れると甘い声が漏れた。    「ふっ…ぁ」    譲の目が徐々に閉じられていくと、キスも激しくなる。  舌を絡ませ咥内をつつき唾液を流す。    「んんっ」    ぢゅっ、と舌を吸って口を離すと銀色の糸がひく。    「はぁ…はぁ」     肩で息をする譲が可愛い。    「これで分からないか?」    「ふぇ…?」    ふぇってなんだ。あの反抗期の真っ盛りの罵倒・罵声どこいった。    「今の大事な人は譲だ」    酸欠でぼんやりしていた譲が、見る見るうちに茹でだこのように赤くなる。    「で、でも!」    「あの時の「大切な人」って言うのは叔母さんの事だよ」    「おば、さん?」    「ああ」    「ってことは、結婚するつもりだったの…?じゃあおれ邪魔だよね…え、やっぱり捨てられるの?」    1人でまた暗いことを考え出した譲にデコピンをかます。    「人の話聞け」    「うん…」    「お前からしたら叔母さんだけど、俺からしたら、母さんの姉、つまり義理の姉になるんだ。母さんの家族なんだから、大切な人なのは当たり前だろう?」    沈黙のあと、譲の怒号が響いた。    「なんだよそれ…紛らわしい言い方すんなよ…っ」    そりゃあそうだよな、怒っても仕方ない。    「ごめん」    「無駄に泣いた…もう知らねぇ」    膝に乗っていた譲は立ち上がってどこかへ行こうとするから、待て待てと腕をつかむ。    「ふんっ」    そっぽを向かれるが、お構い無しに身体を触る。服の上から乳首を触ると肘でっぽうが飛んできた。    「エロ親父!」    「はいはい。譲、言ってないことが一つある」

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