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第4話

 電子音で目が覚めた。    そばにいた看護師がすぐに医者を呼んできて、過呼吸になって倒れたのだと教えられた。    「…ご迷惑をお掛けしました」    「仕方がないですよ、なにせあのような状態では…尚更」    「……はい」    今に至るまでの事を思い出す。…朔、怪我を負わされて階段から落ちたんだった。思い出すだけで泣きそうになって朔の事を考えないようにした。    考えないようにするとなると、お金のことが第一に浮かんだ。  おれは、知っている親戚がいない。母方の両親はもう亡くなっていると聞いてるし、父さんは両親と折り合いが悪いらしくて会ったこともない。結婚も反対されたらしい。絶縁とか勘当されたとか、その辺りの話は無かったから今回のことで会うかもしれない。でもお金の件はどうにもしてくれなさそうだ。    「あの…き、金銭面的なことは」    今払えないとなるとどうなるのかを聞いておかなければいけない。もしかしたら…最悪、借金するしか。    「その事でしたら、安心してください。お父さまのご両親が全て払ってくださるそうです」    「…え、ぜ、全額?」  「全額です。ちなみに、もしもの事があったら心配とのことで、あなたの学校の教育費まで払うそうです」     両親と折り合いが悪い、とは聞いた。でも両親がお金持ちとか聞いたことない。それにもしものことが、あったらってそんな…不吉すぎる。    「因みに、一日入院となりますので」    「え、入院?おれが?」    別に倒れたからと言ってどこかに異常があるわけでもない。なのに入院?    「はい。詳しいことはどうぞご自身でお聞きください」    忙しそうな医者はそれだけ話すとさっさと退出していった。冷たい人だ、と思うのは筋違い…なんだろう。「お医者さん」の優しいイメージがおれの中で定着してるだけで、実際はこんなものなんだろう。    入れ替わりで着物姿の老夫婦が入ってきた。  

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