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第10話

校門まで理事長たち(頼んでないけど先生も来た)が見送ってくれた。幸いだったのは、朔が名前を呼べって言ってた事を深く追求されなかったこと。 「譲くん、俺と付き合う気ない?可愛がってあげるからさ!」 「神霜先生、朔くんに怒られたくなければ変な気は起こさないことですよ」 「なんで朔なんだよ...くそお!」 「あは、は」 ...まぁ、察されてるとは感じた。 帰り間際、狸の皮をかぶった先生が祖父に品定めされているのが酷く面白く笑いを堪えるのが大変だった。 再び高級そうな車で帰り、監視カメラが付いた部屋に戻って、制服のまま布団に倒れ込んだ。布団はいつも知らない間に洗濯され、知らない間に引かれている。個人情報保護も何も無い。 朔に電話しようかと思ったけど、今日はもう沢山話したし祖母がいつ部屋に押しかけてくるか分からないからやめた。 メールくらいはいいだろうとメールを打つ。 『明日から学校行くことになった、決定事項だって』 送信ボタンを押して、約十数秒、メールが返ってきた。 『わかった。今さっき、桜花先生から電話が来て、こっち側に協力すると言ってくれた。桜花先生が協力するとなると、早めに譲を迎えに行けそうだ』 十数秒で読んで書いて返信したんだ、恐るべしタイピング力。 『神霜先生、担任だから「近寄るな」は難しいんだけど』 文句を言ってみる。 『極力だ。話しかけられても無視してろ』 またものの数十秒で返ってくる。 『無茶言わないで、おれの評価下がったらどうするんだよ!』 そうだ、そしたら学校居ずらくなるじゃないか。 『そしたらあの二人も呆れてくれるかもな?』 ......なんて...なんて、ずる賢い。確かに、そうやって適当にやっていれば呆れて、ポイッとしてくれるかもしれないな。 例えば...た、たばこ吸ってみるとか?お酒飲んでみるとか?あ、酒は前に飲んだな。他には...喧嘩してみるとか。 考えてみるも、自分の幼稚な思考に苦笑いが出た。そんな事したって、怒鳴られるか叩かれるかで終わるだろう。 メールをもう一度確認する。 そして、本当に、何気なくだけど。脳内で意地悪げに微笑む朔の姿がありありと浮かんだ。それはおれを弄んでいる時の顔と同じで、そう言えば最近...シてないなぁだなんて思ってしまった。 ...、どうしよう。 その姿を思い出せば身体中が火照り出した。燻った熱気が頬へ赤みを指し、下へと伝っていく。 「う、そ...」 まだ脱いでいなかった制服のズボンが、テントを張っている。 こんな事、あっていいのか。思い浮かべるだけで、た、勃つなんて。 必死になって違う事を考えようとしているのに、出てくるのは朔とシた事ばかり。生々しいその情景が目まぐるしく回る。 「っ、ぁ...」 どうしよ、収まらない、逆に熱くなってきた。 「う、...」 こういう時は、風呂だ!そうだ、冷たいシャワーを浴びればいいんだ! いい案だ、と立ち上がると足元がふらつきうつ伏せに倒れてしまった。そのせいで、下半身が...、だ、だめ、だ。今動いたらズボンの布とあそこが擦れて、大変なことになる...!

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