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父さん、遊びましょ
*本編とは関係ありません
「お、鬼はーそと!!!」
リビングに入った途端顔や体中に何か硬いものを投げつけられた。カラカラと落ちていくそれを見て、豆を投げつけられたのだと気づく。
白色をしたそれらの一つを拾い上げ、ばら撒いた張本人を窺う。
「...なんだ、これは」
聞いたらまた豆が飛んできた。かけ言葉はやはり、「鬼はーそと!!!」。さっきより勢いがついているのは何故だ。
「何って...豆、だけど」
「そういう事を聞いてるんじゃない」
「今日は節分!」
「...そう、だな」
つまり節分だから豆を投げつけた、そういう解釈で間違いないだろう。これは、少しいじめてやらないといけないな。
「俺が、鬼って事なのか?」
「そう...なるよな」
「じゃあ出ていかないとな?」
くるりと踵を返せば、譲が後から抱きついてきて動きを止めてきた。可愛い行動に、譲から見られないように微笑む。
「こ、ここ、朔は、ふ、福だから!」
「服?着る方の?」
「違う!えっと...福は〜内の福!」
「でも今鬼って言ってたのはどこの誰だったけな」
「う、う...」
一歩を踏み出すとだめ!と声を荒らげる。
「鬼じゃないから...行かないで」
涙声になった譲に驚き、すぐに振り返って抱き締め髪を撫でた。
「ごめん、いじめすぎたな」
ぎゅーっと抱き締め返してくれるのが恐ろしく可愛くて、頭のてっぺんにキスをした。リビングの奥を見渡せば、テーブルの上に料理が広げられている。よく見るとそれは、手作りの巻き寿司だった。巻き方があまく、ご飯が零れてしまっている。
譲が涙声で引き止めた理由がようやく理解出来た。
「作ってくれたのか」
こくこくと頷く。急に愛おしさが押し寄せきて、思わず譲の顔を上げさせ唇にキスをした。上唇を啄み、隙間から舌を入れ口内を舐め上げる。舌の付け根をつつき裏を擽れば譲の息があがった。
「ふぁ...ん、ん...」
小さく漏れる吐息に我慢出来なくなり、譲をテーブルに押し付けた。
「ご飯、先に食べたい」
「ありがとう。でも、先に譲が食べたい」
耳元で囁くとみるみるうちに赤くなる顔。
ちょっとした事を考え、譲に豆はまだあるか?と聞いた。突然な質問に固まりつも、キッチンの戸棚の中を指さす。
「豆の数だけ食べる、だっけ?」
不思議そうな譲。豆を持ってきて袋から出し、口に含むと流石に分かったのか体を起こして逃げようとする。無理やり押し倒し再び譲に口付け、豆を入れてやる。
「あと十六個。食べ終わったら口開けて?」
もぐもぐと赤い顔で食べる譲に笑いかけ三つ口の中に含む。残り十三個。
「...食べた」
珍しく素直に言うなと少々驚きつつもキスをし、豆を全て口の中へ。今度は四個含む。残り九個。
「...食べた」
キスをして、口の中へ。カリカリと小刻みに豆を噛み砕く音が聞こえる。
今度は...。
「...ねぇ、食べたけど...そんないっぺんに入らなー」
譲の文句を遮り口付け、九個すべてを口に入れた。
「んんー!!」
豆の無機質な味が充満しているのにも関わらず、何故か甘く感じた。
「...た、べた」
「本当に?口の中もう残ってない?」
わざと聞けばむっとして口を大きく開け見せびらかしてくる。確かに豆はもうない。
「ほは!はいってひったろ!(ほら!ないっていったろ!)」
「...どれどれ」
口腔内を調べるという名目で口に指を突っ込み舌を触る。びくっと肩を揺らして上目遣いでこっちを見る。
舌を持ち上げわざとらしく、本当だ、ないなぁなどと言ってみた。
「ははひへ(はなして)」
「ん?なんて言ったんだ」
「ははひへっへば!!(はなしてってば!!)」
「分からないな...」
舌を離すと譲が喋ろうとするから口を塞いでやった。上顎をなぞり唾液を送り込む。頭を振って嫌がるから、服の上から乳首をいじくる。
「んん、んーっ...ふぁっ...ん、」
甘い喘ぎ声がリビングに流れる。
唇をそっと離すと譲は肩で息をしていた。
「はぁ...は、ぁ......ふ、...く、くるしか、った」
「今からは気持ちよくなるけど、どうする?」
敢えて疑問系にして聞いてみると、酸欠で目が潤んだ譲の口がゆっくり動いていったー。
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