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第4話

食べさせてあげる、なんていつもは言わないようなことを譲が言うものだから思わずは?と口から言葉が飛び出した。 それを拒否と受け取ったらしく、譲は次第に目を潤ませていった。まずい。 「い、いや...なんだ」 「嫌じゃないから、な?」 宥めようとするが、涙腺は決壊した。 「嫌なら嫌って言っていいよ…...?自粛するから」 「しなくていい、しなくていいから」 えぐえぐと泣き出した恋人の髪を撫でキスをする。 笑い上戸の次は、泣き上戸、か。 「だって、は?って言った...う、う」 「びっくりしただけだ、ごめん。ほら、食べさせてくれるんだろ?」 口を開けて待機すれば、渋々納得したようでチョコを包みから取り出し始める。 取り出したチョコは、譲の指の温度で少し溶けていた。握りしめていたんだろう。 そっと口にチョコがいれられ、すぐさま口を閉じた。 「んむ?!」 譲が変な声を出し肩を揺らす。それはそうだ、譲がチョコ口に入れた途端俺が指ごと食べたからだ。口腔内でチョコを溶かしつつ一緒に指を舐る。 「ひゃぁ、やぁぁ...あ、まって、ぇ...」 そのまま手を掴みチョコのついた舌で手全体を舐めていく。 「...ん、ごちそうさま。おいしかった」 「ふ...は、ぅ」 一粒を食べ終わる頃には、譲は息を荒くさせていた。余程感じたのかズボンは少し染みてしまっている。 ーベッドに運ぶべきか、今すぐ食べるべきか。 悩んでいると、譲がぺちぺちと胸を叩いてきた。 「だ、め...今日は、おれがリードするの...。朔、いっつも強引だから、おれも!好き勝手するの!」 強引、なのだろうか。 「意地悪は嫌い?」 「うう、ん...嫌いじゃないけど...でも、恥ずかしかったりするから、心の準備させてほしい」 「そうか。...じゃあ、今日は心の準備が出来てる譲にリードしてもらおうかな?」 「!うんっ」 また無邪気に笑う。今からすることが本当に分かっているのかと心配になるほどに。 膝裏に手を差し入れ横抱きにすると、いつもは嫌がるくせに酒が入ってるせいか笑顔のままだ。そんなにリード出来るのが嬉しい? 寝室に入りベッドに譲を横たえると、隣をぽんぽんと叩かれる。 「朔、横になって!」 「はいはい」 大人しく横になると腹の上に譲がよじ登ってきた。あまりに軽い体重に腰の当たりを触りながらもう少し食べなさいと注意する。 「んっ、ぁ...じ、じっとしてて!」 どうやら感じてしまったようで、甘い声を出したあと怒られた。じゃあ目を瞑ってやった方がいいのかもしれないな、と思い目を閉じる。 「えっと............?どうするんだろ。...いっつも、朔何してたっけ?キスして、胸いじって、下触って......。って、これじゃ、朔が受けになっちゃう」 聞こえてきたのは呑気な作戦会議だった。

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