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第6話
「ん、...っ」
目の前で、譲が自分の後ろを解している。もちろん友達から貰ったという媚薬入りローションを使ってだ。
確かにチョコレートの甘い香りと茶色がついていて、まるで一人でチョコプレイを楽しんでいるような絵面になっているのが、またエロい。
「も、やぁ...とけ、る」
わざと四つん這いにさせ尻をこちらに向けさせたのは、作戦のうちの一つ。どれだけ溶けているか見るためと...可愛い姿を見るため。
「もう少し頑張れ」
「朔、こうぅ...挿れて、ほし...い」
「まーだーだ」
媚薬が入っている分、むずむずして仕方がないのだろうが......あと少しだけ、譲の一人プレイを楽しんでもバチはあたらないだろう。
「や、ぁっ、もう、とろとろだからっ」
こんなに淫語を大量に言っているのだから、起きた時大惨事だろう。恥ずかしさで見悶える譲を見れるとなると、楽しくて仕方がない。まぁ、記憶がなくても、それはそれでからかいがいがある。
「っ、もういいし!」
焦らしに耐えかねたのか譲は俺を押し倒して乗っかってきた。もしかして頭突きでも食らわされるのか、と覚悟したがーーー痛みはない。
譲は俺のをそっと尻に当て、自分で挿れようとしていた。
「?!」
「ふ、はぁ...き、つぃいっ...」
「ちょっ、まて、ゆずーー」
まだ、コンドームしてないから!と叫ぶと譲は腰を下ろすのをやめてきょとんと俺を見た。
「なんれ...?いるの?」
呂律、回ってない。
「いるだろ。腹壊したらどうするんだ」
「......」
上半身を起こすと譲は俺にキスをした。とろけた顔で、そっと、耳のところで。
「朔の、欲しい...だして、いいから」
とか、言ってくるから。
「っ、どうなっても知らないぞ!」
そう言って押し倒した。足を大きく開脚させM字にし、自分のを捩じ込む。早急な動きに譲は対処しきれず挿れたとたん射精した。
「ひゃぁぁあぁあ?!」
「譲が、悪い、からな!」
止めてやらないぞ、という意味も含めて。
「あ、あんっ、ひゃ、んぁあ...、らめ、こ、う、だめ、あ、あぁぁぁぁっーー......」
***
「えーっと...?ローションありがとう、大変使いやすいものでした。どこで売っているのか、またの機会にお聞かせ願いたい。譲の恋人より」
寝てしまった譲に代わって、メールを打つ。きっと送ったとわかれば喋ってくれなさそうだから、送信後はきちんと消去しておく。
「...ぅ」
携帯を閉じてサイドボードに置くと、譲が掠れた声で唸った。起きたらしい。
「譲、起きたか?起きたなら風呂行くぞ?」
横になった俺の顔を見ても状況が把握出来ないらしく、未だにぼんやりとしている。だが風呂には入れてやらないといけない。ドロドロだ。
「...『朔の、欲しい...だして、いいから』って言ってただろ?腹壊すとダメだから、風呂行くぞ」
だから、昨日譲が言った言葉を反芻してやった。みるみるうちに赤くなる顔、見事に耳まで真っ赤だ。茹で蛸のよう。
「あ、あ、ああああーー!」
と、同時に叫んだ。
「わ、わ...っ、わふ、忘れて朔!なかったことにしてええ!」
「出来ないな。今から風呂いって、譲の中のヤツ掻き出すから嫌でも覚えてー」
「ぎゃあああ!」
バカバカバカ!と強めに胸を叩かれるが全くもって痛くない。可愛いなぁと微笑めば、なんで笑ってんだよ!と怒鳴れる。
「仕方がないだろ、酒入ってたんだから!」
「お?ちゃんと最初から最後まで記憶あるんだ?」
「ーっ!ある、ありますとも!」
茹で蛸のような譲がやけくそに言い放つ。
にこ、と笑って胸元に引き寄せ抱き込むともぞ、と多少動いたもののすぐに大人しくなった。肌と肌が触れ合うのが心地いい。
「チョコ美味しかった、ありがとう。わざわざ遠いところまで行ってくれたの、嬉しかった」
余韻が残るのか腰に触れるとびくつく。
「...手作りとか出来なくて、ごめんなさい。気づいたらバレンタインになってたから」
手を叩き落とされるが懲りずに尻を触る。
「気持ちがこもってればなんだっていい。あと...譲以外にチョコ受け取る気なんて全くないから。「うちにはヤキモチ焼きの恋人がいるんで」って、会社で全部断ってきた。昨日のは、想定外だった」
「や、ヤキモチ焼きの恋人.....え、想定外?」
「家、教えた覚えないんだよなぁ...」
ばっと顔を上げた譲と視線が絡み合う。それストーカーじゃんと目が物語っていた。
「まぁ......もし、首元にキスマークでもあれば恋人がいるとわかって諦めるかもな?」
「...わざと、言ってるよね」
当たり前だ。無言の肯定で笑ってやると頬を膨らませてしまった。きっと、つけてくれることだろう。
「さて。風呂入るか。譲のチョコまだ食べきれてないしな」
「え、ふ、風呂自分で入る」
「立てるならどうぞ?...流れ出ると思うけど」
尻に当てていた手を秘所に当てると、両手で顔を隠し運んでくださいと聞こえた。仰せのままにと、返しーー風呂でもう一回スるのだった。
fin
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