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第2話
──しかし、忌み嫌われながらも慎ましく過ごしていたある日。事件は起こる。
小学六年生の終業式の日。殆ど学校にも行かせて貰えなかったが、学校側から式典だけは出るようにと言われて出席していた帰り道。
シュウとクラスメイトの衛と帰る事になった。
しかし学校を出ようとした所で、シュウに親から連絡が入ったと担任が呼びに来て、仕方なく衛と二人で帰る事になる。話題もなく気まずかったけど我慢して信号待ちをしていた。
でも、その刹那。衛の匂いが変わった……。
────────‼︎‼︎‼︎
一瞬の出来事だった。
歩道で信号待ちをしていた僕らに向かって猛スピードで暴走した車が突っ込んで来たのだ。
その車は僕の真横を通り過ぎて電柱に衝突する。その時に舞い上がった風塵が目に入り僕は思わず目を閉じた。
そして次に目を開けた時には、衛は車と電柱に挟まれていた。
僕は目の前で起こった出来事に呆然とし、電柱と車の隙間からどくどくと流れ出す血を見つめながら現実を受け止めきれずに立ち尽くしていた。
次第に周りの悲鳴や遠くから聞こえるサイレンの音でハッとして周りを見渡せば、遠くで誰かが『また悪魔の子』そう言っているのが聞こえる。
違う。これは事故だ。
事故なのに、その後、両親と一緒に行った衛の葬式では門前払いをされて手を合わせる事すら叶わず、半狂乱になった衛の母親が僕の胸倉を掴みながら叫ぶ。
『人殺し! 悪魔の子! あんたと一緒にいたから衛は死んだんだ! お前が死ねばよかったのに!』
僕が悪いわけではないのに、両親は地面に額を擦りつける様にして謝罪する。
そしてそのまま帰ると引き摺られるようにして蔵の中へ閉じ込められた。
僕が悪いのか?
僕といるとみんな不幸になるのか……?
僕が死ねばよかったのか?
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