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第4話
そして翌春。僕とシュウは一緒に県外の中高一貫教育の私立校への進学する事になった。
「一緒にここに行かないか? ここだったら寮があるからきっとおじさんたちも許してくれると思う。おれも一緒にお願いするから」
シュウが言った通り寮があるからと親の許しが得られたが、単に僕を厄介払い出来ると思ったのだろう。
秘密のおまじないはあれからも続いていた。
寮では同室になったので、その頻度も心なしか増えていて、それが嬉しい反面また複雑だった。
社交的なシュウはすぐにクラスの中心的な存在になっていたけど僕は逆で、クラスメイトが僕への用事をシュウを通して伝えてくる程、馴染めていなかった。
「……僕、シュウに迷惑ばかりかけるよね」
「迷惑じゃない。浩太はそのままでいいよ」
いつも慰めてくれるのはシュウだけだ。
「でも、いつまでも足引っ張ってるみたいでやだ」
「そんな事言うなって。そのままの浩太が好きだよ」
友人として好きだと言われただけで胸が高まってしまう。
こんな感情はおかしいってわかっているのに、気持ちの整理をするのも難しくなっていた。
「また、沈んだ顔してる」
僕がこういう顔をしてると、シュウの顔が近付いて唇が触れた。
純粋に心配してくれているだけなのに、いつしかもっと違う意味でこういう事をしたいと思ってしまっている自分に戸惑いしかない。
ませた自分はキスの先がある事も知っていて、思わずその行為に思いを馳せてしまうのだ。
(はぅ……はぁ……ッ……)
夜な夜な声を殺しながら同室の二段ベッドの上で寝ているシュウの事を思い一人でするのが日課になった。
寝静まったのを見計らい自慰をしなければ眠れないほど気持ちは大きくなっていく。そしてシュウの手や指を想像しながら触れるだけでは飽き足らず、その唇の向こう側にある粘膜の感触や舌を想像して自分の指を舐めていた。
僕が死のと思う理由の一つもこれなのだ。
この気持ちはきっと恋心というやつで、そう言う意味で僕はシュウが好きなのだ。
でもこの気持ちは伝えるつもりもない。伝えたところでシュウだって戸惑うだろう。
高校生になってからぐんと背が伸び男らしさが増したシュウに抱かれる妄想ばかりしていたと知られても気持ち悪がられるだけだと思うから。
だから来春高校を卒業する前に、この恋心諸共あの世へと持って行こうと思った。
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