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第5話

大きく深呼吸してポケットからスマホを取りだした。 そして、“ありがとう”と“ごめんね”とメッセージを送る。 「……一人で決めてごめんね。せっかくシュウだけは僕の事を信じてくれたのに」 僕の友達はシュウだけだった。いつも守ってくれたシュウを裏切るような事してごめん。僕には君だけだったけど、君は他の人とも仲良くできる人だから、どうか元気で……。 スマホをポケットにしまい、冷え切った柵を手にして目を閉じた。 その冷たさが現実味を帯びていて、本当に死ぬのだと実感した。 死んだ後ってどうなるんだろう? 何もない世界なのだろうか?  天国とかってあるのかな。いや、僕のような悪魔の子は地獄に行くのだろうか。 でも、どちらにしてもこの複雑な現世よりはきっとましだ。 シュウ……さよなら。迷惑かけてごめん。好きになんかなってごめん。 目を瞑りゆっくり深呼吸して、目を開けて足をかけようとした時、真後ろからいきなり声がした。 「なぁ、浩太。俺に送る言葉がこれだけって酷くない?」 その声に驚いて振り返るとスマホの画面を見ながらシュウが笑っていた。 「シュ、シュウ⁉︎ な、なんでここにいるの⁉︎」 さっきまで僕しかいなかったはずなのに、どうして気付かなかったのだろう。 そもそも、どうしてここがシュウに知られてしまったのか。 つけられていた? いや、僕が寮を出た時には確実に部活中だった。それを確認して出てきたし。申請した書類にも実家に帰ると書いてある。でもここは実家とはかけ離れた場所だ。 「……どうしてここにシュウがいるの?」 すると、シュウは目を細めて笑った。 「浩太が死のうとしてるから来たんだよ」 「と、止めようとしても無駄だから!」 「違うよ。そうじゃない」 「じゃあ、なんで……?」

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