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第9話

いつの間にかコンクリートの地面に倒されていて、冬空だというのに寒くもなく、それよりもシュウ触れているところ全てが熱くて堪らなかった。 自身を手のひらで捏ねるようにして刺激されるやり方は、ごく単純に擦るような自慰しかした事がなかった僕には刺激が強すぎる。 指先でぐりぐりと擽る様にされながら根元から揉む様にして扱かれて、予想のできない複雑な愛撫にもう翻弄されて何もかもわからなくなってしまいそうで怖い。 「ああっ、あ、……」 視界が涙で滲んでいく。気持ちよすぎて涙が出るなんて、そんな経験をした事もない。 「あ、あぁ……んぁ……」 自身の先端を指で丸く円を描くように撫でられた途端、意識せずに体が強張った。 「ふぅ……あっ、あっ……」 複雑な刺激に体が不規則に揺れてしまう。 もう全部溶けてしまいそうで思わずシュウにしがみつくと、下唇を吸われ、ゆるんだ隙間からシュウの舌が僕の歯列をなぞり舌先を軽く噛まれ、体はどんどん火照っていく。 そして、舌をシュウに吸われた瞬間、体が芯からがくがくと震えた。 「あっ、あぁ、いく……ッ」 しかし視界が白みかけた瞬間、シュウが痛いくらいに自身の根元を掴むので、涙のたまった瞳で見つめると、妖艶に微笑むシュウが僕のその先にそっとキスをした。 僕の腰はいきそうでいけないもどかしさから揺れてしまう。 シュウの頬も上気していて、濡れた金色の瞳がもの凄く色っぽい。 「俺を選んで。選んでくれたらなんでもする」 まともに考えられない頭で、なけなしの理性を絞り出すようにして聞き返す。 「ぼく、しゅうにあげられるものなんて持ってないよ……ッ……」 むしろ欲しがられているこの状況だって夢じゃないかって思うくらいなのに。 するとシュウの目が細まった。 「一目ぼれだから。命宿った瞬間からその眩い魂の光に魅了された。一目で全部ほしいと思った」 その目がなぜか泣きそうで、僕は目が離せなくなった。 あんなに自信に満ち溢れて友達も多いシュウが僕に懇願している。 組み敷かれて見上げるなんて、想像でしかなかったのに。 「ずっとこの日を待ってた。浩太がこの世を捨てようとする日を。そうすれば、きっと俺のものにできると思ったから」 その瞬間、頭のスイッチが切り替わるみたいに世界の感じ方が変わった気がした。 要らない子なのだと疎まれ続けて生きてきた。でも、今はシュウが自分を必要としてくれている。 シュウとならどこへ行ってもいいと思えた。 例え、これが嘘だったとしても死のうと思ってたんだ。何も変わらない。

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