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第11話

 巧巳と待ち合わせをし家へと向かう。家族は四人。上に姉が居るのだという。  母親はとても明るくて可愛い人だった。そう口にすれば照れて恥ずかしがる。まぁ、素直な反応だと思う。  自分も母親の事をいわれたら同じ反応をするだろうから。  浴衣を自分で着るのは初めてで、巧巳が見ていてとパンツ一枚の姿になる。  巧巳の事を意識するようになってからその姿を見るのは色んな意味でまずかった。    あいかわらず良い身体だ。あの厚い胸板を撫で乳首に食らいつきたい。そんな欲を含んだ目で見てしまう。  あからさま過ぎたか、見ていた事はバレバレであった。  しかも触りたいのかと思ったとまで言われ、理性はかるくぶっ飛んだ。  そこからは欲のまま唇を貪り、もっと巧巳が欲しくて押し倒していた。  視線を感じ我に返る。  頭の中は急激に冷静になり、この場から立ち去ろうとしたが、巧巳に引き止められた。  祭りに行く約束の事を言われたが、あんな真似をしてしまったのだ。一緒に行けるわけがない。  もう友達にはもどれない。それならばと想いを告げる。  これでおしまい。以前のようなただのクラスメイトという関係になるだけ。  そう覚悟していたのに、巧巳の口からでた言葉は「それならば俺の傍に居ろ」であった。  一瞬、何を言っているのだろうと思ってしまった。  自分は同性で、しかもいきなりキスをするような男だ。  それでも巧巳はきちんと解っているうえで、キスをし返してくれた。 「友達じゃなくて恋人になってくれるのか?」 「あぁ。同じ意味で高貴が好きだ」  と片方の手が触れて指が絡みつく。 「じゃぁ、恋人として、夏祭りデートしてくれるか?」  もう片方の手も繋ぎ合わせて指を絡ませた。 「もちろんだ」  そうとなれば行動は早い。  二人は浴衣に着替え、祭りが行われている神社へと向かった。

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