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第18話

「そんなに気に入ってくださるなんて。頑張った甲斐がありました」 クロムが頑張ったと言うのは、リングの改良のことのはずなのに、まるで俺の身体の事を言われたようで恥ずかしい。 「ん……んぁっ!」 腰を抱かれ、胸を何度も吸い上げられて、無意識のうちにのけぞって声をあげてしまっていた。 早くなった息をふっふと繰り返し吐き、クロムの頭をかき抱く。 「美しい」 唾液で濡れ輝く乳首の飾りをうっとりと眺めながら、止まることなく俺の身体を愛撫し高めていく。 「ん…んんっっ……」 俺は装飾の仕上がりなど全く意識にのぼらず、クロムに与えられる刺激に身をよじって悶えるばかりだ。 美しい…と、飾りを誉めるクロムの視線が、快楽にだらしなく緩む俺の顔へ向けられないことを祈った。 羞恥に耐えていたはずなのに、気付けばクロムに与えられる快感に夢中になってしまっていた。 いつの間に寝台に仰向けとなっていたのか。しびれが走る胸への愛撫をもっともっととねだり、背と腰を揺らして、息を詰まらせすがりつく。 コリコリと勃った乳首は真っ赤に染まり、背中はぐっしょりと汗に濡れた。 いや、濡れているのは背中だけではない。 節操のない俺の男根(おとこね)もこれから与えられるであろう快感への期待で浅ましく露に濡れていた。 クロムに着衣を下げられ、一度もふれられないままにすっかり反応を示していたモノをじかに握り込まれる。 それだけでそこに心臓でも出来たかのようにドクンドクンと血液が集中する。 潤滑用のヌメリをつけた手でクロムにズルリとこすり上げられれば、みっともないくらいあっけなく限界まで張りつめてしまった。 こんなにも簡単に快楽に流される自分が恥ずかしい。 けれど、浅ましい反応を自分でコントロールすることもできず、ただ、クロムの手の中で期待にピクンピクンと跳ねるモノから目をそらすばかりだ。 ふと気配に目をやると、クロムがさらに何かを手にしていた。 「こちらも、少し手を加えてみました。仕上がりの確認をお願いします」 そう言って俺の目の前に掲げられたのは、最後の仕事として試作したあのブジーだった。 「クロムっっ!それはっっ」 ガイハンに頼まれ作りはしたが、本来なら医療用の道具で不慣れなものが扱うべきではない。 「ご安心ください。使い方はきちんと調べましたし、もちろん無理はいたしません」 ニコリと微笑んで言われたところで、安心など出来るわけが無い。 クロムを受け入れた場所とは違う、小さな穴を広げる医療道具なのだから。 しかし、すでに潤滑のためのとろみを絡ませ尿道口へと添えられていた金属の棒を、逃げる間もなくつぷっと差し込まれてしまった。 「ああ……案外容易に入っていくものなのですね」 感心したように言われ、金属を呑み込んだ尿道口をじっくりと観察されて、恥ずかしさに身をすくめた。 押し広げるようにズルズルと金属が内側から尿道を刺激する。 その感触にゾクリと肌が泡立った。 逃げ出してしまいたいが、こんなものを差し込まれた状態では動くのも恐ろしい。 「やはり、これにして良かった。もっと太いものや変わった形状のものもありましたが、これが一番美しく、使い勝手も良さそうでした」 ニコリと笑いながらゆっくりと奥まで差し込み、くるくるとねじるように回しながら、またゆっくりと抜く。 最初は恐怖と圧迫される感覚に身を縮めていたが、金属の棒をくっくっと小さく引き抜いていく感触に、だんだんとだらしなく口が開いてしまっていた。 そんなはずはないのだ。 今までここで快感を拾ったことなど無い。 「ぁくっ……やめ…クロム…………」 これ以上クロムにみっともない姿はさらしたくなかった。 「試作品として残っているということは、他のあんな太いものもこの慎ましやかな穴が呑み込んでしまうという事なのですね」 「無理だ……!あれは…アレは言われたサイズで作っただけで、あんなもの……入るわけがないっ!」 クロムが言っているのは、穴開きの尿道プラグのことだ。 今挿入されているブジーは先端が楕円に膨らんでいるが、そこと比べても倍の太さにもなる。 繊細で優雅な彫刻が施されており、ぱっと見ではそんなグロテスクな用途は推測しづらい。 クロムの目に留まる前にいっそ穴を足して、小さな笛にでも造り変えてしまえば良かった。 「そうなのですか?しかし、師匠のココはこの美しい性具をくわえ込むことに、随分と慣れているように見えます」 「………」 「……そんなに何度も『試用』されたのですか?」 「ち、ちがうっ……これは……色々なタイプを何度か発注されて……。けれど、求められる水準に至るものがなかなか造作できなくて……。そもそも、寸があわないからだと試行錯誤を繰り返して……」 必死に言い訳をするが、何度も試用したというクロム言葉を強く肯定する結果にしかならない。 最初はもっと細いもので試し、それでも苦しかった。 このブジーだって納品したものよりは少し細身だ。 それに、試用したときにはこんなにスムーズに飲み込みはしなかった。 今クロムにされているように完全に勃起状態にして挿入しなかったからだろう。 ただただ気持ちが悪いだけだった。 だからこんな……こんなゾクゾクとくるような快感が沸き起こるなど……想像もできなかった。 「う……ぅあ……はぁ…………」 嬉しそうな顔のクロムに見つめられながら、ツルツルとした金属の棒で尿道の中を優しくなでられる感覚に、みっともなく身体を引きつらせ続ける。 「この装飾も本当に美しい」 ブジーを差し込んだ状態で固定するために柄の途中についている金属の輪を、クロムが俺のモノの先端に引っ掛けた。 その状態でブジーを中から少し引き抜く。 ブジーの柄から手を放せば、棒が自然にクルクルとまわりながら尿道を刺激し、装飾のツタが動いて花が咲いた。 どこまでも悪趣味だ。 けれどクロムはその装飾の駆動に目を輝かせる。 「ああ、こんな動きをするのですね!」 奥まで埋まってしまった棒をズルリと引き抜き、濡れタオルで冷やして装飾の駆動を元に戻し、また手を放して駆動の様子を眺める。 そして、俺はまた棒がつプツプと埋まっていく刺激に身をすくめる。俺のモノが先端から美しく動く装飾を突き出した状態で、快感にクンックンッと大きく上下に揺れる。 「こんなに弾むほど心地いいのですか」 みっともなく暴れるモノにジッと注がれるクロムの視線に羞恥し身体が熱くなった。 「んっぁああっっ……!」 また容赦なく引き抜かれる感覚に、とうとうそれまでと違う甘い響きを持った声を漏らしてしまった。 我慢をしていたが、限界だった。 こんな金属で浅ましく快感にむせぶ俺を見ないでほしい。 そう思っても、さらに勘どころを捉えた手つきでヒクンヒクンと跳ねる肉棒にブジーを押し込まれてしまう。 「ん…あっあっ…あはぁ……」 こらえても漏れる声で、ブジーが与える効果は文字通り手に取るようにわかるのだろう。 クロムはブジーを差し込んだままの幹と先端を慈しむようにユルユルとなで続けた。 柄の留め金を外すと先端が伸び、通常の形態では入ることのない、尿道が曲がったさらに奥に届くようになっている。 ブジーの丸く膨らんだ部分がたどり着いた先の前立腺をクリクリと刺激した。 「あ……あ、あ、あ、あ、あ、あ……」 刺激一つ一つに声が漏れる。 「師匠はかなりこれがお気に入りのようですね?」 そんな言葉を否定する余裕すらない。 前の穴だけでも充分な刺激を与えられているのに、クロムがヌメリを垂らした指を後穴から差し込んで、反対側からもゆるゆると前立腺を刺激しはじめた。 「ぁああっ!……あう……んんっっっく……」 両側からの刺激にたまらず顔を振って声を上げる。 刺激から逃げたいけれど、ブジーを差し込まれた状態では下手に動けない。 しかもクロムが差し込んだ入口をチロチロと舐めて前後交互に刺激をする。 頭がおかしくなりそうだ。 「んぁああっ!やめっっクロムっ!もう!もう無理だ!」 「痛いですか……?」 「痛くは……っっないっっがっっ!!!」 「ならば、悦んでくださっているのですね?」 どうして、これがよろこんでいるように見えるのか。文句を言うよりも先に快感が爆ぜた。 けれど出口を塞がれ放出が叶わない。 「っーーんぁあっ!あんーー!んァアーー!」 叫ぶように唸って、視界が白む。なのにさらに刺激を続けられて、ぱちんと頭の中が弾けた。 「……師匠?」 急にへたっと脱力した俺にクロムが手を止める。 けれど、それでも止まらない快感の波が勝手に身体を刺激する。 「え……師匠???」 ぞろりと後穴から指が引き抜かれた途端、ギュウギュウと引き絞るように身体がこわばる。 クロムが長い指を抜いた感触がソコに渦巻くような甘い快感を呼び起こし、たまらず後穴でイってしまっていた。 それでも、前で弾けた快感は放出されず、イけないままに快感の余韻が襲いかかる。 「あう……うぅ…………」 そして、熱く甘い余韻だけで再び後穴で小さくイってしまった。 「あぅうんっ!……ぬ…いてくれ……壊れる……」 コレを差し込まれたままではたまらない。そう思ってクロムに解放を願った。 「師匠、イキたいですか?」 「んっあっあっっイきたいっ。イカせてくれ」 クロムが俺の口元に顔を寄せる。 「すみません……。聞き取れなくて。もう一度お願いします」 そう言うクロムの耳に今度は聞き逃されないよう、唇をふれさせ言葉を吹き込む。 「クロム……イカせて、出したいんだ。コレを抜いてくれ」 そして、クロムの口をむさぼるように懇願のキスをした。 俺のキスを受けたクロムは、それでもすぐには抜いてくれず、ひとしきり俺の顔をなでた後、ゆっくりと丁寧にブジーを尿道から引き抜いていく。 「あ……あああっっああっ!」 尿道を押し広げながら金属が出て行くその刺激にいちいち声が上がる。 キモチイイ……。 認めたくない快感で頭がいっぱいになった。 ブジーが抜けると同時に、ブシャっと顔にまで白濁液が飛んだようだ。そしてダラダラとだらしなく垂れる。 けれど、そんなことを意識している余裕はなかった。 抜けばおさまると思っていた快感の波が、全く止む気配がない。 「あぁ……クロム……おかしい……ん…はぁっっ。なんでだ?」 「どうなさいました?」 精は排出したけれど、クロムに快感を高められた後穴と、揺れるアクセサリーに刺激され続けた胸がキュウキュウとさらなる刺激を求めている。 けれど、もういい。もう充分だ。早く終わりにしたい。 「ぁ……くるっ……んんっ。」 まともに答えることは出来なかったが、俺のすがるような目で、少しは状況を察してくれたらしい。 なのに……。 「ああ、そんな色っぽい顔で、師匠の方から私を誘ってくださるなんて。夢みたいだ」 本当に夢でもみているような顔で、また俺の後穴に指を差し込みながら、もう片方の手で愛撫を始めてしまった。

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