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第10話 再会

「よし、それでは久しぶりの再会に乾杯しますか!」 吉岡がかんぱーーいとビールのジョッキを俺とテツのグラスにコツンとぶつけた。 半分くらいグビグビ飲んで大げさにうまーいとはしゃぐ。 「何食べる?焼き鳥の盛り合わせはマストだろ?」 基本的に陽気な吉岡は、その場の空気を和やかにしていつも楽しい飲み会にしてくれる。 人見知りな俺が会社の飲み会や、嫌々ながら付き合わされた合コンも楽しく過ごせていたのも全部吉岡のおかげだ。 何も考えてなさそうでその場の空気を瞬時に読む能力を持っている。 こいつ、ホストになったら売れるな。 すいませーん、と吉岡が手を上げて定員さんを呼ぶ。 「お姉さん、焼き鳥の盛り合わせとやみつきキャベツね、あとだし巻き卵もお願いします。」 「ねー!俺のタコわさも」とテツがメニューのタコわさの写真を指差す。 「はいよ、タコわさもお願い、砂は大丈夫?」 「あ、軟骨食いたい」 「でた!安定のゴリゴリ!じゃあ、軟骨の唐揚げも」 騒がしい店内、活気があって気持ちがいい対応をしてくれる定員。 この鳥良は俺たち同期3人の行きつけの店だった。 テツが引っ越してからは来る回数は激減したが、吉岡と二人で飲みにくるのは大抵鳥良だ。 一通り注文も終わり、久しぶりとはいえすぐにいつもの空気戻るから仲間とはいいものだ。 どうよ、仕事は!と他愛もない話をしながらわいわい酒を飲んだ。 「ていうかさ、テツおまえいっつも急だよな」 「そう?」 「そうだよ、転職決まって会社辞めるときだって、そんで引っ越しも知らなかったんだぜ。相談しろよな、砂にばっかり言いやがって!俺は除け者か!」 ビールをぐいぐい飲み、怒ったようにテツに絡む。 「だって、吉岡って口軽そうなんだもん。」 「はー!俺だって本当に言っちゃいけないことは言いません!!」 「ごめんごめん、次からはちゃんと吉岡にも相談するから許してくれよ」 この通り、と拝むようなポーズをしているがクスクス笑っている。 二人のやり取りを観ながら静かにビールを飲んだ。 久しぶりの再会でテツを見るのが辛いかもしれないと思っていたのが杞憂に終わってホッとしたのか、今日はいつもより酔いが早い。 「砂ちゃん久しぶり」と肩を叩かれても、動揺せずにいられた。 昨日、言葉にしたからか。好きだった、と言えたからか、それとも。 わずかに残っているビールを飲み干した時、ふいに蒼井の手の感覚が頬に蘇った。 ひんやりした手、細くてきれいな指、キスをした後の蒼井の溶けるような色っぽい目、吐息。 ドクン、と体に中で音がしたと思った瞬間ビリっと痺れた。 この感覚は朝もあったな、と恐る恐る視線を落とすと、そこは見事に膨らんでいた。 嘘だろ、また思い出して立ったのか。俺の息子はいつからこんなに活発的になったんだ。 しかも二人がいる酒の席で、長年片想いしていた相手の前で。 混乱した。 混乱すればするほど、蒼井に会いたくなって、そして怖くなった。 会えば落ち着くのか。 恋していた時も、可愛いなと思うことはあったがここまで欲情したことは無い。 二人がじゃれ合い言い合いしている最中、元気に立ち上がっている自分のモノを座らせるため、俺は必死になって頭のなかでクリスマスイブを流した。 店に入るまで、陽気に吉岡が歌っていたクリスマスイブ。 きっと君は来ない、一人きりのクリスマスイブ、おお、サイレントナイト、ホーリーナイト

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