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第16話 愛がなにかもわからないのに
【蒼井響一の場合】
砂川の腕を首にかけ、夜道を歩き砂川を送る。
お酒を飲んだ訳でも無いのに、頭がくらくらした。2時半の帰り道には誰もおらずこのまま逃げてしまいたいほどの静けさ。
逃げる?どこへ、なにから?
テツなんて男の事を砂川の頭から追い出したくて、俺だけの事を考えればいいと、砂川の家に入った途端、執拗に口を塞いだ。
結婚するから友人代表のスピーチをしてほしいと頼んだテツは、人懐っこい笑顔を残して嵐のように去っていった。
なんだよそれ。
固まって、困惑しながらも祝福している姿がいたたまれず、今すぐ奪い去ってしまいたかった。
「おめでとう」と最後に笑ったあの顔は袋にしまって誰にも見せたくないほど儚い。
昨日無理やり舌でこじ開けてキスをしたのが嘘のように、お互いに深いキスを繰り返す。
はぁ、と漏れる吐息が俺の欲望に火をつける。
この人をめちゃくちゃにしたい、俺を欲しいと言わせたい。
悶え、喘ぎ、はてさせたかった。
誰でもない、俺でいっぱいにして、テツなんて男は消えてなくなればいい。
歩きながらもキスをやめなかったのは、一瞬でもほかのことを考えさせないため。
ん、ん、と吐息を漏らしながらもキスを拒まない砂川が嬉しい。
ベッドに押し倒し、服を脱がせると細身だと思った砂川の筋肉質な身体が現れる。
酒のせいか、砂川は力が入らずとろけるような顔で無意識に俺を煽っている。
すべすべした首元にきつく吸い付き、俺の跡をつけた。
思えば、人につけられたことはあっても誰かに跡をわざとつけたことはなかったな。
誰にもこの身体は見せたくない、そんなにとろけた顔をしないでくれ。
触っていないのに、パンツの中が痛いほど熱くなっている。
おい、跡つけるなよ!という目をしているので
抗議しようとした口を思いっきりキスで塞ぐ。
ん、ん、やめ、ん、ん、という癖にもっとしてくれと言わんばかりの表情に止められなくなる。
そうだ、もっと感じて、もっととろけてしまえばいい
キスをしながら、体中に跡をつけた。
パンツを脱がせ、砂川はとても熱く立っていた。
興奮してくれていることに心底ほっとして、もっと興奮してほしいと優しく口に含んだ。
「う、く、う、あ、ああ、あ、」
砂川は耐えきれないように、声を漏らす。
さっきまで声をこらえていた、吐息だけ、声を我慢しているのも恐ろしく色っぽかったが、こらえ切れず声をあげてよがっている姿だけでイってしまいそうなほど愛おしい。
「あっあっ、あっ」
声が小刻みになり腰が動いている、限界まであと少しなんだろう。
このままイカせてあげようかとも思ったが、まだこのまま肌を重ねていたい。
俺はパッと口から出し、そっとカバンの中を漁る。
ローションとゴムは入っているはず。ローションを見つけるといつもより多めに出し、冷たくないように少し温めてから、砂川のお尻の穴に塗った。
お尻でするのは初めてなんだろう、砂川の身体が硬直する。
「もし、辛かったら言って。」
そう言ってゆっくり慎重にお尻に指を入れていく。
辛い、やめてくれと言われたらどうしようかと思った。
身体をこわばらせながらも、受け入れてくれている。
するする俺の人差し指を受け入れてくれ、中指も一緒に入れたとき、甘い声がもれた。
ゆっくり出し入れして砂川のいいところを探す。
少し辛そうだが、やめることなんてできない。
薬指も一緒に入ったとき砂川は大きな声で喘いた。
「あぁ、ぐ、くぅ、あ、、あああ」
ごめん、優しいセックスなんてしたことがない。
もっと優しいやり方を学んでおけばよかった、傷つけないやり方。
ゴムを自分のモノに付け、ゆっくり、出来るだけ傷つけないように中へ入れた。
砂川の中は熱く、痺れる感覚が体中を走る。
愛のあるセックスは痺れるほど気持ちいいよ、そう言ったのは誰だったか。
そうだ、3ヶ月ほど続いたセフレのあいつだ。
確か名前はヨシキだったか。
彼氏が出来てセフレ解消したが、面白くイイヤツだった。
本当だな、痺れるほど気持ち良い。
愛がなにかもわからないのに
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