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第5話

「タクミ、疲れただろう。お前にしてみれば、異様な光景に映っているのだろうが・・・許せ・・・」 「義一様、一つ疑問が・・・」 「なんだ、申してみよ。」 「はい・・・僕は正真正銘、男に御座います。 花嫁になれたとしても子は宿せません。」 「そのことか・・・そんな事は分かっておる。 子は宿さずとも母にはなれよう。 まぁ、3日もあるのだ・・・おいおい話して聞かせよう。 不安な事は多いとは思う。 だが、俺を信じて側にいてはくれまいか?」 相変わらず鬼の仮面を付けたままの義一様。 その声は優しく穏やかだ。 僕は心を決めた。 何があろうとも貴方の側にいようと・・・ 例え、義一様が本当の鬼であっても構わない。 あの地獄のような日々に比べれば、なんという事は無いのだ。 ただ、僕の生い立ちを義一様が知れば里から追放されるかも知れ無い。 それだけは避けなければ・・・ でも何故か僕は全てを知った上で、この里に連れてこられたのかも知れ無いと思ってもいた。 幼い頃あった《金色の鬼》は、貴方のはずは無いのに・・・ あの鬼が貴方ならいいのにと心の奥深い場所で期待していたのかも知れ無い。

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