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第6話

「これより3日の間、俺と二人きりだが大丈夫か?」 「面は・・・」 「怖いか?」 「はい、少し・・・」 「社(やしろ)に入れば取れる。それまで許せ。」 「はい」 屋敷の奥の離れにある社(やしろ)に向かう行燈で照らされた廊下を、義一様に手を引かれ歩いていく。 怖いはずなのに、そう感じなかったのは義一様の声が余りにも優しく聞こえたから・・・。 やはり、小さい頃に聞いた声と重なる。 行燈灯る廊下を奥へ奥へと進むにつれ重々しい空気に包まれていくように感じた。 ひときわ明るく行燈の灯る社(やしろ) その前には何やら大きな生き物が二匹座っていた。 不意に義一様は歩を止めて僕の方を向いた。 「あれは見えるか?」 あれ?社の前の犬の事かな? 「二匹の大きな犬でしょうか?」 「ほう、タクミには見えるのだな」 心底驚いた様子が言葉の端々でわかる。 「はい」 「あれに見えるは琥珀と翡翠。 あれが認めたものにしか姿は見えぬ・・・神の使いだ。 そうか、タクミには見えるか。」 義一様は嬉しそうに言う。 僕は認めて貰えたのかな・・・ 貴方の真の花嫁として・・・ 義一様が嬉しそうにしていると声のトーンで分かる。 そんな自分も不思議ではあった。

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