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第7話
僕が近付くと琥珀と翡翠が側に寄ってきて僕の頬を舐めた。
「くすぐったいよ・・・こっちが琥珀で、こっちが翡翠かな・・・」
「ほう、分かるのか?」
「あってますか?」
「あぁ、合っている。」
優しい瞳が面の下から見つめていた。
「お前達もタクミを気に入ったか」
二匹の大きな犬に声をかける。
「タクミ、今後お前を守ってくれる。故に心配は不要だ。さぁ、中に入ろう・・・」
僕は琥珀と翡翠をひとなでして、義一様の後について社に入った。
社の中には3つの部屋があった。
義一様は社の中に入ると、直ぐに面を外された。
面の下には精悍な顔立ちの綺麗な顔が隠されていた。
鬼のように怖い顔ではない。
ただ、金色の髪と瞳の色が青味がかって肌も白い。
どこかで見た海の向こうに住む鬼の絵に似ていると思った。
「タクミ・・・怖いか?」
そう聞かれ、僕は素直に答えた。
「怖くはありません。
義一様の容姿は自分と色が違うだけ・・・後は同じ・・・怖くはありません。」
「そうか・・・皆、怖がるが・・・タクミは怖くないのか・・・」
そう言って、義一様は笑みを零(こぼ)された。
小さな声で「ありがとう」と聞こえたような気さえした。
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