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第10話

淡い色の透けた布が天井より幾重にも重なり寝所を覆っていた。 中がぼんやりと見える程度に・・・ そんな中、ロウソクの炎がゆらゆらと揺らぎ影を落とす。 幻想的な風景に見とれていた僕の手をグッと引き寄せられ、足元の布に足を取られ義一様に向けて倒れ込んだ。 「大丈夫か?」 「ごめんなさい・・・僕・・・」 「緊張しておるのか?」 「少しだけ・・・」 そう言う僕をヒョイと抱き上げ、明かりの灯る寝所へと連れ入った。 ゆるりと優しく敷かれた寝具の上に僕を降ろし僕の頬を義一様の指がなぞっていく。 今から僕は、義一様の物になるんだ・・・そう思うと何だかとても嬉しくて、知らず知らずの内に頬が緩み笑みを漏らしていた。 「何が可笑しい?」 「いえ、可笑しいのでは無く嬉しいのです。」 「嬉しいとな・・・」 「はい、やっと義一様の・・・義一様と一つになれるのが嬉しいのです。」 「タクミは俺を喜ばせるのがうまいな(笑)優しくしたいが、無理やもしれん・・・許せ・・・」 そう告げた唇は、次の瞬間、僕の唇を優しく塞いだ。

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