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第12話
やっと手に入れた。
その思いの丈を指に込めタクミの唇に触れなぞる。
少しばかり開いた唇が俺の指を食んだ。
食まれた指先から痺れるような感覚が広がる。
「優しくするつもりであったが・・」
「義一様?」
「無理なようだ・・・」
そう告げタクミの唇に深い口づけを更に落とした。
「ん・・・・・」
行燈(あんどん)の明かりに照らされたタクミの体のなんと甘美なこと・・・
俺は白い肌を手でなぞり下へと降りて行く。
タクミの肌は俺の指に吸い付くように馴染む。
誰にも触れさせたくはなかった。
事情があるとは言え、攫って来れば良かったと何度悔いたかしれぬ。
俺がこんな風に思っている事など、タクミは知らぬこと・・・。
お前をこの里に・・・
俺の花嫁にする為に攫って来た事を、恨むことすらなく運命だと受け入れてくれるのだ。
「俺を・・・」
「義一様・・・?」
「許せ・・・」
「何を・・・許すの・・ですか?」
「全てだ・・・」
「はい・・・全て・・・許しましょう・・・だから、義一様も・・・全て許して下さいね・・・」
そう言って優しく微笑むタクミが愛しくてたまらなかった。
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