16 / 24
第16話
するりと我が懐に入り優しい眼差しで俺を見る。
その黒曜石のような二つの瞳に俺を写し、嬉しげに頬を染めるタクミが愛しかった。
このような身なりの俺。
この国にいながら異国の要素を含む姿が疎ましかった。
だが、ここを守るには必要なのだ。
普通ならば怖がるだろうに、全く恐れず側にいてくれる。
一度手にしてしまえば離すことなど出来ぬ。
叶わぬ夢と思っていた。
欲しいと思ったのはお前だけだ。
「義一様・・・」
「どういたした」
「こんなに心安らかにいられる日が来るなど・・・考えたことすらありませんでした。」
「タクミ」
「義一様のお陰です。僕を花嫁として連れて来て頂いて、なんと感謝すればいいのか・・・一生、義一様の側で尽くさせて下さいませ。」
「感謝などいらん・・・ただ、側から離れることは許さん・・・何があっても、離したりはせぬ・・・許せ」
「義一様」
優しく笑うておれ・・・
そなたの優しい心が里を豊かにしてくれるだろう。
その笑顔を守る為ならなんだってしよう。
そなたの笑顔が見られるならば・・・
ともだちにシェアしよう!