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第23話
やっと音と言えるのだろうか、人前で弾ける様な腕前ではないにしろ須田先生について4ヶ月を過ぎた頃、先生から次の発表会に出て見ないかと誘われた。
流石に人前では弾けないレベルだと分かってるはずなのに、先生は僕に発表会に出ることを勧めてくれた。
先生には分かっているのだ。
僕に足りないのは自信だという事を。
人前に出るのが怖い。
何故かはよくわからない。
「発表会に出れば何か変わるのかな・・・」
少しだけ前向きに考えてはみたものの、やはり無理があるのではないかと思ってしまう。
この発表会には須田先生の愛弟子である『井上佐知』さんが特別招待枠で出演されると聞いた。
憧れの『井上佐知さんのバイオリン』を聴きたいとは思う。
だけれど自分が同じ舞台に立つのかと思うと気が引けた。
今日も先生のレッスンを終えて帰宅中にグルグルと頭の中でそんな事を考えてた。
途中、いつも寄る公園の大きな木の下に小さな男の子が3人いるのに気付いた。
その子達はニコニコ笑いながら僕を見ていた。
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