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[きぬ]12月24日-2-

 スーラジ君がホテルの軽トラを運転してくれて、寮に着いたのは22時を回った頃だった。   「木綿サンによろしくね! メリークリスマス!」 「ありがとね、スーラジ君。ローストチキン、ご馳走様!」  料理長から、というのは口実だろう。骨付き肉2本とサラダをわざわざテイクアウトの紙箱に入れてくれて、これはきっとスーラジ君からのクリスマスプレゼント。  冬休み期間になって、人もまばらな学内寮。鍵を開けて中に入ると、外とはまるで別世界のような温かな空気に包まれた。クリスマスイブだからって野郎同士では特にイベント意識はないのか、共有スペースにいるメンバーはお決まりの顔触れで、綿貫の姿は無かった。  風呂の予約も、冬休み期間はガラ空きだから、銘々好きな時間に使えるはず。一旦部屋に戻って支度をし、浴室に向かう。携帯を鳴らしたけれど応答がなかったので、きっと今使っているのは綿貫だろう。 「入るぞー」  湿気で重くなった引き戸をあけて、呑気な風で声を掛けた。湯船に浸かっているということは、もう出るところだったか。 「おう、おかえりー。忙しかった? 海沿いはイルミネーションなんだろう?」 「んー、ピカピカしてるけど、なにしろ寒いからな。あれは部屋から見るためのもんだろ」 「……だろうな。」  夕飯はどうしたのかな。肉とサラダ、喫茶室のサバランも貰ったんだ。綿貫に聞けば「今から一緒に食べる」という。……こいつの胃袋はどうなってるんだろう?

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