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第161話
声が出ない。
泣きすぎて鼻の奥が痛い。
でも、伝えたい。
スマホを渡されたのと反対の手で自分のスマホを取り出し、メモ画面をタップする。
伝え、なきゃ…
『画像、消さなくて良いです。
全部消えたらおしまいですか。』
哀しそうな泣きそうな顔をしている。
必死にそれを殺して笑顔を保とうとしているのが痛い程伝わる。
だから。
「消さなくて良いって…。
嫌だろう?
もう自由なんだよ。」
『俺、嫌じゃないです。』
可愛がってくと打っているといいにおいに包まれた。
先生のシャツが自分の涙で汚れていく。
「ごめんな…」
先生、それはどっちですか…
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