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第188話
2人並んで手を合わせる。
色んな事があった1年だった。
ちらりと横を盗み見ると同じく手を合わせる遥登。
何を願っているのか真剣な横顔。
2年は修学旅行もある。
善くも悪くも1度しかない高校生活。
あんな事をしたが、目一杯楽しんで過ごして欲しい。
そして、出来ればまたこの学年を受け持ちたい。
伏せた瞼がゆっくり上がる。
その凜とした姿、視線。
この生徒自身が聖域の様な気さえする。
そんな生徒を汚し犯す自分は真逆の位置にいるのだろう。
だったら尚の事掴んだこの腕は一生離してやらない。
神がいるなら宣戦布告だ。
「すみません。
お待たせしましたか?」
「いや。
沢山お願いしたか。」
こくりと柔らかな表情で頷く遥登。
「叶うと良いな。」
「はい。
先生も。」
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