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第189話

横にそれると商店街の和菓子屋が甘酒を振る舞っていた。 紙コップ入ったそれを手渡されると悴む指先が解けていくようだ。 甘酒なんて何時ぶりに飲むだろうか。 隣で美味しそうに飲む三条を見ながら自分も口をつける。 「兄ちゃんも御神酒飲んでいき。 隣の子はまだか。 スルメもあるで。 食べなや。」 「ありがとうございます。」 この辺りでは、お炊き上げで焼いたスルメを食べると1年間無病息災、風邪をひかないと言われてる。 揺れる炎の番をしている年寄りはほら沢山食べなと三条に焼けたものを大きく破いて握らせた。 車だと申し出ると、三条同様まだ熱いスルメを沢山分けてもらった。 「これで風邪ひきませんね。」 「もう風邪は勘弁してくれよ。」 「あれは、ちょっと体調が優れなかっただけです。 自業自得だし…。」 パチパチと燃える炎の色を移す顔を覗けば、今年はこれで平気だと断言した。 「そうか。 じゃあ安心だな。」 「はいっ。 先生も安心ですね。」 やっぱり笑った顔は良いな やっと自分に向いた笑顔。 独占したいと何度も願った笑顔が今手の中にいる。 願わくばこの子がしあわせな毎日を過ごせます様に

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