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第209話

「あ!長岡先生だー。 飲み物奢ってくださいよ。」 「私もー」 女生徒の甘い声にそちらを見れば頭1つ飛び出ている教師がいた。 両脇を挟んでいる女生徒は3年生だろう。 若く整った顔立ちに長身の担任は他の学年の生徒からも人気があり、よくああして声をかけられる。 「奢りませんよ。」 「えー。 センター入試の激励で買ってよー。」 「センター入試なら雪が酷くて午前放課でしょう。 早く帰らないと帰れなくなりますよ。」 口角を上げただけの作り笑いできっぱり言い放つ声が少し離れたこちらまで聞こえてきた。 前に自分が1番ぺーぺーだから敬語で話すと言っていたが他学年の生徒にまで丁寧語で話しているのは徹底している。 隣を動こうとしない上級生を羨ましく思い、そちらを見ない様に田上の頭を探した。

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