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第255話

ご飯をよそい、大きめの具がごろっと入ったカレーをかける。 最後に半熟の目玉焼きを乗せてもらってテーブルに着いた。 「いただきます。」 「うん、いただきます。」 手を合わせて長岡を見ると目を細めて表情を和らげた。 とっても優しい表情は学校では決して見る事が出来ない。 恋人だけの特権。 先生が1口食べたのを見届けてから自分もスプーンですくって口に運ぶ。 「んまっ」 「カレーにマズイもないだろ。」 そうは言いながらも先生は少し嬉しそうにスプーンを口に運んでいる。 目玉を突くととろりと零れる黄色がカレーを覆った。 「たまごトロトロ。 とっても美味しいです。」 「そりゃ良かった。 沢山作ったから沢山食えよ。」 たまご1つでしあわせになれるんだから得な性分だ。 家で母親が作ってくれるカレーとは違ってピリピリと舌が痛むが、頬張ったじゃがいももホクホクで美味しい。 何より、好きな人と食べるご飯はしあわせの味がした。

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