269 / 1273

第269話

『で、遥登はパイパンを見られたら恥ずかしいから4棟トイレを使うんだな。』 「はい、…え?」 突然の質問に素直に答えてしまう。 さらりと流れが良過ぎて考える暇もなかった。 これは絶対やばい。 「違いますったまたまっ」 『可愛いのになぁ。 真っ白ですべすべしてさ。』 喉の奥で笑う声は意地悪さはない。 単にからかわれてるだけだ。 でも剃られた時の事を思い出してしまう。 あの目で見られ醜態を晒したあの日。 『どうした?』 「ん…」 『思い出した?』 「ん、」 『素直だな。 可愛い。』 楽しそうな長岡が恨めしい。 ビールでも飲んでいるのだろう。 受話器から軽い缶を置く音がする。 『我慢できねぇ?』 「我慢、します、」 『うん、偉いな。』 あぁ、目の前にいたら髪を撫でただろう姿が容易に想像出来る。 電話も良いけど体温を感じられないのはもどかしい。

ともだちにシェアしよう!