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第269話
『で、遥登はパイパンを見られたら恥ずかしいから4棟トイレを使うんだな。』
「はい、…え?」
突然の質問に素直に答えてしまう。
さらりと流れが良過ぎて考える暇もなかった。
これは絶対やばい。
「違いますったまたまっ」
『可愛いのになぁ。
真っ白ですべすべしてさ。』
喉の奥で笑う声は意地悪さはない。
単にからかわれてるだけだ。
でも剃られた時の事を思い出してしまう。
あの目で見られ醜態を晒したあの日。
『どうした?』
「ん…」
『思い出した?』
「ん、」
『素直だな。
可愛い。』
楽しそうな長岡が恨めしい。
ビールでも飲んでいるのだろう。
受話器から軽い缶を置く音がする。
『我慢できねぇ?』
「我慢、します、」
『うん、偉いな。』
あぁ、目の前にいたら髪を撫でただろう姿が容易に想像出来る。
電話も良いけど体温を感じられないのはもどかしい。
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