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第271話
金曜日の2限目は長岡の授業。
説明を聞き、配られたプリントを解いていく。
静かな教室中はペンが紙の上を走る音と机の間を移動する長岡の足音だけが響いていた。
ぬっと視界に入ってきた指が机を突いた。
「ここ、間違えてる。」
「え」
担任は机の横にしゃがんでプリントにペンを走らせる。
ここはな、と説明しながら復習する際に見直しが出来る様簡単にヒントと説明を書き込んでくれた。
節のゴツゴツした大きな手。
先生のにおいも近い。
授業中だというのについ邪な思いが頭を掠めてしまう。
「分かるか?」
「あ、はい。
大丈夫です。」
「じゃあこっちは?」
単なる凡ミスだ。
サラサラと答えを書き込んでいく。
解いている横に手が伸びる。
手は止めず何事かと思えば文字の様だ。
『休みが待ち遠しくて上の空?』
長岡を見ると、分からない?と惚ける。
三条は首否して問題に向き直った。
『楽しみだな』
秘密のやり取りにドキドキと心臓が五月蝿い。
長岡を通り越して田上にまで聞こえてしまうんじゃないかと心配になる程早鐘を打っていた。
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