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第274話
「なにかお手伝いする事ありますか…?」
「ん?
新妻ごっこしたいのか?」
からかったつもりの言葉に、ぽわっと頬を赤く染める初な反応は何度見ても飽きない。
癖のない真っすぐな髪を梳くように撫でると目も泳ぎだす。
「じゃあ、カップ出してくれるか?
俺のはあっちにあるから。」
「あ、はいっ」
大学時代の友人から修学旅行の引率のお土産にもらったお茶を開ける。
一人暮らしだからパックの方が使い勝手は良いが、文句はない。
今こうして役に立っているからな。
ポットに、茶葉を適当に振り落とすと三条に合わせた温いお湯を注ぎ入れる。
それをマグに落とすと日本茶のさわやかな香りが微かに香った。
「ほら、冷ましてから飲めよ。」
「いただきます。」
猫舌の遥登はちびちびと口を付ける。
何時もなら冷めるまで待つのに珍しい。
余程寒かったのだろうかと室内温度を上げた。
「あったかい。
美味しいです。」
「そりゃ良かった。
友人からの土産だからそう伝えとくな。」
「その方も先生ですか?」
「そ、同じ教師。
修学旅行の土産な。
鹿児島だってさ。」
綺麗な若草色に甘味の濃い深い味を美味しそう飲む三条は、先生は何回も修学旅行に行けて楽しいですねと笑った。
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