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第287話

「村上先生が代理で良かったって寄せ書きくれてさ、それだけで泣きそう。 写メったから見ろ。」 ずいっと出されたタブレットの画面には、村上先生とハートで囲まれた周りに感謝の言葉が綴ってあった。 これは生徒達からの通知表だろう。 「村上先生大好きだって。 見てこれ、ハートマーク付きだよ。」 「マジかよ。 これもだぞ。」 「俺も2組大好きー。 うへへっ」 揚げだしを頬張りながら大好き大好きと言い続ける様子から、よっぽど濃い半年だったんだと容易に想像が出来る。 体育祭も文化祭も最後。 それこそ就職組にしたら人生最後の楽しい学生生活だ。 そんな瞬間に立ち会える緊張と思い出の色の濃さ、肩にのしかかる重みは半端じゃないだろう。 「これうまい。 サプライズで花束と色紙なんてずるいよなぁ。 ほんっと2組が1番かわいー。」 そんなぐでんぐでんの友人を見ながら長岡はからあげに箸を伸ばした。 自分がA組が可愛いと思うのと同じだけ、友人も2組が可愛いのだろう。 そう思うのに、受け持った日数は関係ない。

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